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『時をかけるな、恋人たち』を観てほしすぎる人のnote〜『ポケつめ』も添えて〜

カンテレ・フジテレビ系列で10/10(火)から『時をかけるな、恋人たち』というドラマが始まる。絶対に観てほしい。

脚本はヨーロッパ企画の上田誠。
私に詳しい人なら「あー、はいはい。小川はヨーロッパ企画が好きだもんね」と思うだろう。しかし私が絶対に観てほしいと思う理由は、「上田誠の脚本だから」という理由だけではない。

下記が、私が猛プッシュする理由たちである。


上田誠の手掛ける「時間もの」


ヨーロッパ企画・上田誠はタイムリープ、タイムループ、タイムトラベル系の物語(下記:「時間もの」)の脚本にめっぽう強い。
ヨーロッパ企画の公演では何度も「時間もの」の劇があった。ビックリするほど面白かった。面白い上に伏線回収がとても美しい。

上田誠の「時間もの」を観すぎた私は、浅い「時間もの」のドラマや映画に触れると「矛盾している」、「タイムパラドックスの問題に真摯に向き合っていない」、「伏線回収が下手だ」と辛辣な意見を持ってしまうことがある。
それくらい、上田誠の「時間もの」は徹底しているし、上田誠の手掛ける「時間もの」に信頼を寄せている。

上田誠がTwitter(X)で「全部つながる」と発言しているのだから、本当に「全部つながる」のだろう。
終盤の回が放送になってから1話などを振り返ると、「そういうことだったのか!」となる仕掛けが沢山あるに違いない。
可能なら一話から録画しておいて、振り返りながら、繰り返し観ることをオススメしたい。

私の大好きなアニメ『四畳半神話大系』(上田誠が脚本を担当している)も、繰り返し観ることで「そういうことだったのか!」という発見があった。
あの物語は森見登美彦の小説をもとに紡がれているが、今回は純度100%の上田誠である。
「そういうことだったのか!」がより濃くなるだろう。

TVerで観てもらうだけでも嬉しいのだが、放送を録画してもらえるともっと嬉しい。

「そんなに上田誠は『時間もの』が得意なの?」と疑う人には、まずは手始めに『UFO食べタイムリープ』に触れてもらいたい。YouTubeで観られるので、「なるほど、"こういうの"が好きな脚本家なのね」と予習するのにピッタリだ。

※予習するのにピッタリなのだが、30分くらいあるので、時間に余裕がある際にどうぞ。

遂にタイムパトローラーが主役に


上田誠の手掛ける「時間もの」にはタイムパトローラーが頻出するが、物語の終盤に登場することが多い。

ヨーロッパ企画において、タイムパトローラーがメインの劇は(私は)観たことがない。タイムパトローラー側の気持ちや考えは、ヨーロッパ企画の劇からは、今までさほど伝わってこなかった。

満を持して、タイムパトローラーが主役の物語の誕生である。
タイムパトローラー側の視点に、遂に触れることができる。

15年くらいヨーロッパ企画を観てきた。
実際に劇を生で観ることができるようになったのは10年前くらいからだが、田舎の学生にも触れることのできた「劇以外のヨーロッパ企画」はずっと追っていた。
タイムパトローラーが主演の物語がテレビドラマになる日が来るとは思ってもみなかった。

「タイムパトローラーが主役」ということが判明した時点で、ヨーロッパ企画ファンは(おそらく)ソワソワしている。もちろん私もソワソワしている。

永山瑛太(瑛太)とヨーロッパ企画


『サマータイムマシン・ブルース』という映画がある。

タイムマシンを手に入れてしまった大学生たちのコメディ映画。
元々はヨーロッパ企画の劇だったのだが、本広克行監督によって映画化された。

その時の主演は瑛太。彼にとって初めての主演映画だった。
瑛太が永山瑛太になり、何年もの時を経て、ヨーロッパ企画の「時間もの」に帰ってくる。しかもタイムパトローラー役で!

感情を「エモい」で簡略化して片付けてしまうことは勿体無いのだが(もっと丁寧に言語化する必要があると感じているので)、敢えて書こう。「エモい」。というか「エモすぎる」。

映画『サマータイムマシン・ブルース』はヨーロッパ企画の代表作である。ことあるごとに再上演されてきたし、続編となる『サマータイムマシン・ワンスモア』もある(これが本当に素晴らしい作品なのだ!)。

まだ『サマータイムマシン・ブルース』を観たことがない人は、是非『サマータイムマシン・ブルース』を観てから『時をかけるな、恋人たち』に挑んでもらいたい。放送時に「エモい」を分かち合えるはずだ。

『サマータイムマシン・ブルース』は、有料だが各種配信でも観ることができる。
ヨーロッパ企画の代表作であり、入り口であり(『サマータイムマシン・ブルース』からヨーロッパ企画を好きになるケースが多く見られるので、「入り口」の役割を担っていると表現して問題ないだろう)、なんと言っても「面白い」。

『時をかけるな、恋人たち』の初回放送まで、まだ猶予がある。第1話の幕が上がる前に、『サマータイムマシン・ブルース』にも触れてもらえると嬉しい。

テレビドラマである


ヨーロッパ企画は劇団であるので、本拠地は舞台である。私はヨーロッパ企画のコメディ演劇を多くの人に観劇してもらいたいが、やはり会場に足を運び、観劇するというのはハードルが高い。

現在ツアー真っ只中の『切り裂かないけど攫いはするジャック』のチケット代も、決して安くはない。私にとっては「適正価格」だったが、初めてヨーロッパ企画を観るには勇気の必要な価格設定だろう。
「自分にとって面白いと思えるか分からないもの」にお金を払うのは、いくら評判が良かったとしても、それなりの覚悟が必要だ。

しかし、『時をかけるな、恋人たち』は「テレビドラマ」なのである。
テレビがあれば無料で観ることができるし、テレビがなくても無料で観ることができる。TVerって凄い!

別のnoteでも記したが、ヨーロッパ企画はコメディで闘う劇団である。上田誠はコメディに強い脚本家であり、大喜利に強い脚本家なので、ドラマの脚本もコメディ色がふんだんに盛り込まれている。
きっと『時をかけるな、恋人たち』もコメディの要素があるだろう。
火曜22時に、皆でクスッとしようではないか!

「時間もの」の「お笑い」が好きな人へ


「時間もの」を取り扱うコントや漫才はたくさんある。有名なものはマヂカルラブリーがKOCで披露した『傘』だろうか。「もしタイムトラベルするなら」みたいなテーマの漫才も多い。
そういうネタが好きな人は、ヨーロッパ企画の「時間もの」を観ておいて損はないだろう。
これは私の依怙贔屓丸出しの感想だが、ヨーロッパ企画の「時間もの」は絶品である。

「お笑い」と距離が近い劇団だ。
お笑いが好きな人たちも、どうか『時をかけるな、恋人たち』を観てくれないだろうか。
一話完結の物語が続く、「連作短編集」みたいなドラマである。
一話がつまらなかったら切ってもらって構わない。時間は有限なので、無理してまで観る必要はない。
しかし、せめて、一話だけでも観てはもらえないだろうか。

最後に


まだ放映されていないドラマを「面白いから観てほしい」と記事にするのはおかしなことであり、矛盾している。
しかし私は上田誠を、ヨーロッパ企画を信頼している。
「こんなの面白くないはずがない!」と思ってしまっている。

伏線回収があると明言されているドラマだ。
一話から観たほうが良いに決まっている。

アナタにとって面白くない内容だったら、私にクレームを入れてもらって構わない。この場でプレゼンした以上、しっかりと謝る。

しかし、時にはつまらないものを観ることも人生経験を豊かにするとは思う。
「なぜつまらないと感じたのか、分析し言語化すること」は、長い目で見ればその人にとって財産になるとも考えている(※こんなことを書いたけれど、つまらなかったら私にクレームを入れてもらって良いです。きちんと受け止めます)。

こんな駄文を最後まで読んでくれたアナタ。アナタには素養があります。
10/10から、テレビの前で一緒に「かけて」くれませんか?

ポケモンが好きなアナタには


もしポケットモンスターに想い入れのある人がいたら、テレビ東京系で始まる『ポケットに冒険をつめこんで』も併せて観てもらいたい。

複数人が脚本を担当するのだが、その中にヨーロッパ企画・大歳倫弘の名前もある。
大歳倫弘はヨーロッパ企画所属の脚本家で、上田誠とはまた違った視点からコメディを提供してくれる。

大歳先生(私は大歳倫弘のことは「大歳先生」と呼んでいる。上田誠のことは「上田誠」なのに)がどういう作家なのかは、大好きなヨーロッパ企画のYouTube生配信『大歳を王とし』シリーズでなんとなく把握できると思う。

これは初回の『王とし』。長いので、時間があるときに観てもらえたら。クイズ自体がシッカリ面白いので、クイズ好きにもオススメだ。

コロナ禍で「集まる」ことが難しかった時期、
ヨーロッパ企画は生配信で楽しませてくれた。


さすがに「外部との仕事」でここまでの「大歳節」が炸裂することはないだろうが、今回のドラマでもとても楽しい脚本を書いてくれると信じている。

上田誠はスーパーマリオブラザーズの日本語特別吹替を担当した。
今度は大歳倫弘がポケットモンスターを題材としたドラマの脚本を担当する。
ヨーロッパ企画も任天堂も京都が本拠地だ。
軽率に言おう。「エモい」じゃないか!

なんだか記事の構成上、こちらのドラマを「オマケ」みたいな扱いにしてしまったが、大歳先生は、ポケットモンスターは、『ポケットに冒険をつめこんで』はオマケなんかじゃない。
私にとっては『時をかけるな、恋人たち』と同じくらい期待を寄せるドラマである。

ヨーロッパ企画を信じている


「信じている」。そう、私はヨーロッパ企画を「信じている」のだ。「この人たちの創るものはきっと面白い」と信じている。
信じすぎてしまっているから、放映前からプレゼンをしてしまう。

私は自分のことを「面白い人間」だとは思わない。しかし「面白い人たちを見つける力」には、ほんの少し自信がある。
予防線を張ってしまった。ほんの少しじゃない。自信がある。

秋から始まるヨーロッパ企画のドラマは面白い予定です。そう信じています。

私の「信じる劇団」を、信じてくれませんか?

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小川
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