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たまに
読んだ小説にも
週末に
恋人と観た映画にも

彼女たちの声は
たしかに載っていたから

僕は
寂しくは
ならなかったけれど

そんな
優しいだけの
科白の意味は
誰の気持ちも
ホントには
満たせなかったから

例えば
僕も同じく
充たせないのであれば

そのフレーズが
魂の叫びでなくても

歌詞の意味くらい
暗くなった
感覚の間隔くらいは
測れてしまうのだから

互いの距離感
図らずとも
離れさせたこの曖昧さに
答えあわせは必要がなくて

あの日、逃げだした
自由の理由には
永遠にならなかった

僕の存在感は
尊いはずの生命は
夜の11時半には
消えたがっていた

現実的な物語として
あなたにも
読まれたりはしなかった

なのに
僕には
かけがえのない話だと
君は語ってくれたから

何も
誰も
一つだけを
許されなかったとしても

その愛情は
優しさだと
今すぐに伝えたいと

あの日の僕を
紳士的に
後ろを振り返り

もう一度
もう一回

唯、僕は

君だけを想った

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