隼-8823-
ウチュウで
独りだけの君という存在に
僕が預けたコーフクという洋服を
ウチのお店に卸した朝
君がウチの婦人服屋の
暖簾を押した瞬間に
僕と君は瞳の色にふと気づく
『僕たち、同じ黒い瞳してるね?』
獲物を狙う前みたいな
縦長、流線型の瞳に
君と僕は
アルシュの希望の光を見出した
今度、良かったら
LIVEがあるんだけど
一度、来てみない?
アレから約30年が経過した
はじめて聴いたようなその曲を
僕は
生まれる前から知っていたみたいに
君の掠れた美しさだけを
黒い瞳の奥に染み込ませ
何処か知らない外国語みたいな顔で
最後の最期まで一滴の涙も流さず
まっすぐに君を凝視したまんま
その場に固まった
沈黙がもう怖くはなかった
ガンダーラじゃなかったけれど
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