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無色透明

ホントは
何も
無いのに
誰も
部屋には居なかったのに

ドコカシラの
白い壁紙の一点だけを
ずっと、いつも
飽きずに見つめていた

単色の世界に
常に憧れを持ちながら
一人の時間に
浸りたいだけのような
ホントの自分に

珍しく
君の顔は
今日は笑顔で
笑ったまんま
天井の黒墨を見上げる
素振りを一瞬したけど

ホントは
別に
それを
天井を通過した先に
青空が
宇宙や惑星(ほし)が見えなくたって

誰一人
自然が
君を安心させて
くれなくてもいいと

昨日は
知らなかったような
他人の噂

その噂は
どうでもよかったのに

別に
ホントは、僕は
別のハナシを
君にしたくて

暗い足元に置いてあった
斑(まだら)なだけの模様を

二年前までは
誰も住んでいなかった部屋に
今、僕が確実に存在する

その事実を
君に
僕は
伝えるための言葉も
表現方法すらも
持たなかったから

『慌てた』
『焦った』
『戸惑った』
『狼狽えた』

『急がなくてもいいよ』
と言ってくれた君の言葉に

その優しさには
甘えることもできず
簡単な質問にも
今は
何故か答えられず

自分らしさも
等身大の自分も
大人なのか
子供なのかも

何一つ
僕には
自分のことが
よくわからなかった

自分の
この感情には
全く色が無いこと

透き通っただけの
透明な色と
生温い僕側の感覚

ただ
抱きしめるように
君にさっき
抱きしめられたような
縞縞(しましま)の錯覚と
精神世界の入口

でも、それは
やっぱり
現実の僕には
一生辿り着くことのできない

不思議な
謎の
単なる妄想(憶測)に過ぎなかった

別に
僕は
被害は受けなかった
傷つかなかったけれど

もう一人の
現実とは異なった
ホントの自分に

軽く、巫山戯て(ふざけて)
虐められたのかもしれなかった
たった今

『長所は』
『存在感』

『詰まり』
『孤独感』

『色は無い』
『最初から』

『全然』
『赤く、紅くはなくて』
『無色透明』

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