Memories Custom
申し訳ありませんが、記憶にございません。
昨夜のことのお話ですよね?たしか
ホントにそれはワタクシのことでしょうか?
見間違いではありませんか?あなたの
ワタクシ、部屋から出た憶えはありませんし
その時刻はたしか、ベッドに寝ておりました
あなたの目撃情報によると
昨日の夜、1:30
都内の繁華街
ワタクシはアルコールを片手に
徘徊していたとのこと
チーマーらしき青年の一人に声を掛けられて
喧嘩になった
ワタクシはその青年を殴ったのですよね?
途中、30秒間、馬乗りになって一方的に
青年は逃げ出して、警察に通報
その後、ワタクシは片手に持っていた瓶を
道路脇の電信柱に投げつけて割った
粉々になった欠片に触れて
指先を怪我した
まあ、かすり傷程度で済んだようですが
今朝、目が醒めたら
たしかに、右手の人差し指には
バンドエイドが雑に巻かれておりましたが
全く記憶にはございません
不思議なことが世の中、いや、
ワタクシの生活の中に既にございます
記憶は曖昧な断片に過ぎない
何処かの書店で立ち読みした内容を
脳裏で何度か反芻いたしました
あなたからのご連絡によると
その青年は亡くならなかったとのこと
怪我はたいしたりしなかったようです
それが事実ならと
ワタクシ、ホッといたしましたが
自分にたいする疑念は残りました
以前にも増して過去が恐ろしくなりました
今回はワタクシだけの事象となりましたが
連絡をくれたあなたの過去に
問題点はございませんでしたか?
虚偽の報告なら、今のうちに
話しておいた方がと思いまして
案外、ワタクシ、普段はと言いますか
素面は優しいニンゲンなので
多少は他人の事が心配にもなります
悪意なんて
ワタクシにはよくわからない
その問題は心底、解りかねますね
恐らく、多分、永遠に
自分を思いだしたくはありません
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