端鞠の殻

新しさが
精の神を
じんわりと埋めていく

侵食された者を
自分の手で
この
二つの眼で確かめる

風は
相変わらず生温い
熱くは
ならなかったけれど

体温が
36.4℃から全く
いつまで待っていても
彼らは動かない
揺れることのない心に
同情もできないくらいに
幼い自分に
昨夜も同じ顔で幻滅した

さよならも言えなくて
誰とも会いたくなくて
君を愛したくもなくて

自分の背中
見つめていても
答えはなかった

正しさの欠片もないような
世界地図とは違う世界観

意識と魂の狭間に
夢を見ていたのも束の間

何もかも
たった16ギガの
Memoriesを取り外して
完全に記憶を
たった今、削除した

二度とは
再生したくない
もう一回は要らないから

二度と
やり直さなくていい
自の我を手に入れた

一番、気になった
のは
NOAH

終わり方
じゃなくて
その、始まり方

物語の始まり

端鞠の殻