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Photo by
vividaiaiai
空中ブランコ
この
愛の世界が
たとえば
新しく
なっていても
誰も
気づかないような
忙しいだけの
日常の泡(あぶく)のなかを
藻掻くことなく
軽やかに
口笛だけ吹いて
大好きなだけの
メロディを
大好きな
あなたのすぐ隣りで
歌を丁寧に
原曲通りに
あなたの鼓膜の
さらに奥側にあるような
深くなった
自分の素直さに
なんだか
どうして
その涙は
僕の頬を伝わなかった
歪んだ
ネガ・フィルム
醜い過去を
水には
流せなかったとしても
わたしの
『この感じ?』
『悪くないよね?』
巫山戯た笑みで
真顔のまんま
問いただすような
ジョーク混じりの
マジメじゃない方の
君だけを求めて
僕は
今日一日を
ニセモノな君の
前向きさに
一度は
あなたに
騙されたような
素振りをして
明後日の方向に
向かって
空中ブランコ
今日も
必死に漕いでいた
また
君は
加速していく
哀しみの
ちょうど真ん中へ