礫(こいし)さん

My Favorite Album

『びはいんど』

向かい風が

吹いている

雨雲は

南から北へと

ながれていく

ごつい岩が

ゴロゴロと転がって

ボクの新しいスニーカーに

爪先にコツンとぶつかった

ボクの足の裏は

難とも、何とも

無かった

けれど

暗くなった足元を

コロコロと転がる

あなたが歌う

ロックン・ロールは

その汚れなき靈は

粉々に

一瞬

砕け散ったように

ボクには見えたけれど

最後の最後には

見事なサイズの

ひと粒の礫に

なりました

それを

一番そばで観ていた

こいしさんは

笑顔で

こっちを

ボクを

ボクがついた嘘を

見透かしたような顔で

じっと眺めてた

遠い宙

いつも

ずっと

そして、いつまでも

ボクの変な顔

笑って見つめてた

それでも

ボクは、哀変わらず

昔の歌を

『昼間っから』を

朝、目が醒めても

食い入るように

いつもどおりに聴いていた

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