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トーキョー指定

自分が
知らないこと
できないこと
言ったからって

誰にも
嫌われたりはしないよって

君に云われたのを
永遠級のレベルで
思いだした、その台詞は

雷、稲妻を描いた
illustrationよりも
ギザギザの角度で
鋭く尖って
僕の心臓を突き刺したまま

ハートのエースは渡さないと
君が言っていたのを
思いだした僕

別の人だと
勘違いを質(タダ)したのを
一つめのキッカケにして

君は
暗闇に向かって
部屋を飛びだした

扉、鉄板の重たいドア
一撃で蹴り倒したら
社会的なエコヒイキが
覆りそうな驚音となって

夜の闇のなか
街中に
トーキョー中に鳴り響いた

ヒョウ柄
タワワナ
胸元が騒いだのは
もはや、錯覚ではなく

其の別の人
別人だと思った
君側の確信は
やっぱり、実は彼だった

知り合いだとわかったのは
彼がまだ
十五歳の頃
君は繁華街で
彼と出会っていたから

渋谷
スクランブル交差点

109(マルキュー)の
すぐ前で
まるで全身を
舐めるような
彼の眼差しを
あえて、君は
無視するように

澄ました
二個の瞳
碧(ミドリ)色の
カラコンで
一喝すると
彼の2㍍前を
平然と通過
黙ったまま
通り過ぎていった

彼は
今日
十七歳になっていた

『HAPPY BARTHDAY!』とは
誰も
トーキョーの人混みは
云わなかった

だから、隣りに居た僕は
彼の本音と
まだ幼くて
アドけない顔した
建前に向かって
『おめでとう!』を囁いた

そして、静寂(シジマ)が
何処までも続いた
静まり返った街
トーキョーの夜に

君と僕
十七歳に
なったばかりの彼が居た

この社会には
世の中には
三人しか
居なくなったみたいに

永遠級のレベルで
僕ら
三人はコドクだった

Royal Hostの
明かりが灯っていたから
三人で一緒に入った

三名様で良かった
ホントに良かった

勿論、ドリンク・バーも
一緒に頼んだ

君は
ルイボス・ティー

彼は
コカ・コーラ・ライト

僕は
ジンジャー・エールを

プラスティック製の
バーすぐ隣りに
重ねて置いてあった

汚れていない方の
コップに1杯
イッパイ並々と注ぐと

席に戻った

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