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トロンとカルク

さっき
今朝
出たばかりの雑誌

Numberの
僕の本名と
同姓同名の
インタビュー記事を

実際の
声には出さず
眼だけで
適当に
好い加減に

文字の並び
テキスト情報だけを
目で追って
待ったりと読んでいたら

すぐ隣りで
フレンチ・クルーラーを
食べていただけ
君の微笑みの中に

トロンとした
眠気にも似た
アクビをした直後の
不意の涙のような

決して
泣きたかった
わけじゃない

ヒト側
他人にも生まれた
矛盾と不条理

玉ねぎを
ミジン切りにした時

昨夜の晩ごはん
カレーの下拵え中に
君の流した涙の色を

僕は
明日を
カルク

自然体のまま
ごく普通に

真横に
ドーナツを眺めて
君の横顔を
玉ねぎの灰汁を

苦味のホントの意味と
その解除方法について
ちょっと思い浮かべた

たぶん、
隣りの君は
その事
方法、やり方

『全部』
『知ってるでしょ?』

トロンとカルクは眠ってた

2匹の猫だったから

下手な僕の日本語は

全く通じなかった

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