野田-Noda-

帰宅時
室温35℃の世界では
余計なことは
何一つ
全く
考えられなかった

誰の顔も
思い浮かばなかった

思想も
妄想も
空想も

所詮は
その程度

と思った時には
私の背中には
既に
汗が貯まって
琵琶湖のようになっている

『あなた方は
その湖で
どんな魚を釣る
御ツモリですか?』

この質問を
考えた時には
実は
室温は
31℃まで下がっている

親指と
人差し指の先で
溶けた
チョコレイトを
一粒だけ
器用に摘む

ミント味の
ガーナ・チョコレイト
ベトベトになった
ミズイロの指先を

ベロの上に
舌の丁度
真上から
ピーナッツ入りの
飴細工を置くように

ただの砂の入った
ドンゴロスの袋を
リヤカーに載せるように

素面の真顔のまんま
舎震り(シャブリ)つくと
知らないうちに
この部屋の
室温は29℃になった

けれど、
まだまだ
私にしてみれば
暑い、熱い、暖い、温い

そして、
ようやく
蠱毒(コドク)が
顔ヲダシタ

『殺気まで』
『ナリを潜めていたの』
『私は、知っているぞ』

『私は、オマエを』
『忘れて』
『など、居ない』

等、以内。ノダ。
只今、たった今。
キタクしたノダ。

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