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c6h6n10
風味絶佳
蒼くなった
醒めた顔を
初めて
見つけたように
合格率が
パチンと弾けて
辺り一面
土砂降りの雨んなか
アテもなく
一緒に
一瞬の間を
走りまわった
ヨルの響きは
すぐ側を駆け抜けた
全速力じゃなくて
体はスローなのに
経った感覚と
二人の感情は
目の前を通過していく
初恋のひとに
再会したかのような
頬っぺの紅さは
昨夜、眠る前に
食べた風味よりも
リアルな
甘酸っぱさだったから
紅色に熟した
果実を
一本の枝から
もぎ取ったって
勿体ないとならなかった
後ろめたさに
代わり
違いがないなら
緑色の葉っぱが
飛び散っても
飽きの色が
ちっとも変わらないなら
自分側の切なさは
まるでなくなっちゃうから
生まれて初めての
軟らかいまま
半生の感情であることを
現実感のまんま
頬っぺを撫でたら
良いだけの
美味しいと言えない
この程度の幸せにも
ブドウ糖の甘みにも
罪深さを
ニンゲンの業を
たった今、味わったように
全部、わかっていたから
最初、話が始まる前から
君が
あの話の続きを
話しだすよりも
ずっと前から
何時も通りの僕なら