グッド・バイ

『コイツ、やばい』

君が
ボクに対して
そう思う
約0.2秒前に

ボクは
君の顬(コメカミ)に
大きく振りかぶった
刃物のように尖った
革靴の爪先で
トゥー・キックを
喰らわした

君の頭が
真っ赤に染まる
その光景を

静かに
ただただ
ボクは
ボンヤリと

気持ちのいい
朝のようにして
紅い噴水を
間近で
眺めていた

綺麗だった
とても
君は最後に
綺麗な声で叫んだ
青空に向かって

陽の光に
反射して
生きている間よりも
ずっと

君は
ホントに
うつくしかった

誰に
怒られることもなく
もう君には
責められることもなく

安らぎと平和が
ボクの心のなかから
溢れでてきた

『平安』という
漢字二文字が
頭に
一瞬、浮かんだ気がした

多分
君の呼吸は
もう止まった

けれど
遠くから
聴こえたのは
サイレンの音と
いつものノイズ

騒がしいだけの
名前も持たないような
群衆、ヒトダカリ

ボクを捕まえる前に
パトカーのサイレン
救急車のサイレンは
全く聴こえなくなった

君が
醜い記憶から
完全に
居なくなったのを
再確認して
ボクは
ようやく安心した

コレで
明日から
ボクは
もう
自由になる

お別れだ
サヨナラではなく
バイバイ

いや、違う
きょうは
お愛でたい日だから
素敵な日曜日だから

そんな君には
グッド・バイ

ボクには
GOOD BYEが
最も相応しい

ホント
最高の一日だった

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