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Andy Warhol
抽象的な表現しか
余りできない僕に
その後
具体的な案件は
一度も回ってこなかった
答えようがない
正解のない問題を
あえて解かずに
白紙の答案用紙を
恐る恐る提出したら
結果的に
朝礼のラジオ体操はなくなった
今回は残念ながら
雨で中止ではなく
たいした理由じゃないのに
最初から割愛された
割られた窓ガラスの破片に映る
あなたの笑顔を幾ら見つめても
僕という人に
歴史的な根拠は生まれなかった
けれど、傍、隣には君が居た
明るい話はしなかったのに
いつも具体的に扱われた
僕の抱えた葛藤が
君にとってはタイプらしい
君の男性の趣味は
一般的なファッション誌
概要欄からは除外された
昨日までペーパーだった媒体は
今日はPDFデータになった
現実的な無駄話を
一所懸命に嫌がる君にも
曖昧な優しさはあった
当然、僕自身も甘やかした
君からのご褒美には
様々な種類があった
だから、僕は
カタログから選んだ新製品を
Amazonですぐに注文した
簡易包装の包み紙を
態々平らに
一回、綺麗に伸ばして
その日の僕は
とりあえず眠りについた
明日になれば、朝がきたら
タラとレバ
希望的な観測を
頭ん中で何度も反芻した
けれど、だけど、それでも
僕の日常は
具体的にはならなくて
未解決の問題、謎を孕んだまま
傷ついた訳じゃない存在に
嫉妬ともちょっと違う
羨ましさを感じてしまう
のだから
その点においては
もっと自信を持てばいい
愛されて当然だと
脳裏を
完全にリセットしたら
頭は軽くなった
僕の精神は
また素に戻った
だから、幸運にも
長くなる話を愛でたく
終わらせることができた
いつもより短く、端的に
半分しか
気持ちは伝わらなかったけれど
幻滅はしなかった
所詮、この程度の生き物
存在感に過度な期待は
今はもうしなかった
自分の苦しむ姿を
二度と観たくないから
それが僕のすべて
物事の基盤だった
『人を』
『自分を』
『馬鹿にするな』
『甘くみるな』
『されて嫌なら』
『遣らないこと』
『最低限の』
『自身への配慮』
『それが』
『尊重』
『生命の尊厳』