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憲法答案に関する自分の考え


0.はじめに(注意書きを含む。)

どうも、司法です。ご覧いただきありがとうございます!皆さんの勉強のお役に立てれば幸いです。
今回は、答案に判例の基準・理論面を厚く書くことの意味を自分なりに考えてみました。
※このnoteは、私の経験をもとに考えたものであり、あくまで個人的な考えです。誰にオススメしているわけでもなく、「こういう考え方もあって良いのでは?」程度のものです。異なる意見があることも重々承知していますので、その点は誤解なきように。また、私の答案が判例の基準・理論面として正しいことを書いているか、や、私自身がnoteの内容を実践できているかは主題ではありません。合わせてご留意下さい。

1.近時の試験傾向

最近の司法試験、予備試験は、いずれも(複数の)判例をベースにした問題を出してきています。特に予備試験はその傾向が顕著ではないでしょうか。
もちろん、判例と異なる書き方をしたからと言ってAがつかないとかではありません。R5予備試験の憲法の問題で目的手段審査してもAは取り得ると思います。しかし、「判例で書いた方がAは取りやすい」という点を否定なさる方はいないのではないでしょうか。

2.私の考え(結論)

以下、考えを色々と書くわけですが、結論としては「判例の基準・理論面を厚く書くことは、『落ちない答案』を書くという観点からは有用な対策の一つとなるのではないか」というのが私の考えです。
結論だけ知りたい方はここで終わって大丈夫です。

3.R4予備とR5予備

上記考えに至った主な理由がR4,R5予備です。
・R4→判例ほぼ反映せず、目的手段審査で大量の当てはめ(当てはめだけで2ページ以上)⇒成績B
・R5→判例ベタベタで書いたが、当てはめは極薄(私見での当てはめは半頁もないほど)⇒成績B
受験者層、問題難易度、Bの中での順位等の差異もあるので一概には言えませんが、この2つで評価が同じだったことから、上記のように考えました(なお、私の当てはめが酷いからR4でBしかつかなかった、という可能性は一旦おいておきます。)。

4.判例の基準・理論面を書くメリット(私見)

メリットは色々ありますが、最大のメリットは、「現在の司法試験・予備試験の傾向とマッチしている」ということだと考えています。以下、その内容を2つ。
・内容①:「こんなに判例準拠の問題出してるんだから、まずは判例で書いてくれ」というのが試験委員の基本的な主張だと考えられます。そうすると、判例を明示した上で(ここは、もはや必須かと。)、その基準・理論面を丁寧に(厚く)示すことこそが、上記要求に沿ったものとなるのではないでしょうか。
・内容②:これは本note執筆時点では、司法試験にのみ当てはまります。R5,R6と、会話が長くなっていることから、当てはめで有意な差をつけるのが難しくなっています。超上位や憲法が得意な方を除き、本番でいきなり創意工夫を凝らした文章を書くのは、ハードルが高いのではないでしょうか。
これに対して、判例理論等は事前準備をすることができますから、それなりの文章を書くことは出来るはずです。この観点からもメリットとなるのではないかと考えています。

5.判例の基準・理論面を厚く書くデメリット(私見)

当然デメリットもあります。1番のデメリットは、勉強量が増えることです。暗記量も増加し得るので、コスパは決して良くはないです。他にも、超上位のためには結局当てはめも頑張らないといけない、学説まで押さえないと書きにくい(勉強量が増える、に還元されるかもしれません)、などもあり得ます。

6.メリット(上記4)、デメリット(上記5)を踏まえて

もとより、判例理論等を厚く書くことを万人に勧める気は毛頭ありませんが、上記のような試験傾向との相性の良さを考えると、デメリットを上回るメリットもあるように思います。現在の司法試験の傾向からするならば、判例理論等を厚く書くことは、最低限『落ちない答案』を書くのには適しているのではないでしょうか。

以下7,8は、本題からは少し外れます。見たい方のみ見てみてください。

7.理由付けは短くすべきでは?

論証の理由付けは最低限に止めるべきとの主張があります。私も基本的には賛成です。
ただ、憲法に関して、私を含め文章力にあまり自信がない方が、判例の理論面等を厚く書いて点数を稼ぐことには一定の合理性があるのではないか、とも考えています(なお、当てはめが超重要であることは当然に賛成です。当てはめよりも理論面を書くことの方が重要だ、という趣旨ではないことにご留意下さい。)。もちろん、上述4,5の(デ)メリットは当てはまりますが。
また、点数があまり振られていない、ということも言われますが、こと憲法に関していえば、判例の理論面等をちゃんと書くことに少なからぬ点数が振られているように思います。試験委員の方からの印象も良いのではないでしょうか。

8.審査基準?

現在では、なんとか中間審査基準を立ててその合憲性を審査する事が試験界の通説(?)であろうと思います。そして、審査基準など点数が振られていないのだから中間審査基準で良い、という主張もその通りだと考えています。試験対策の観点からは基本的にはそれで良いと考えています。
もっとも、一つ疑問に思うのは、「なぜ基準のみ審査基準論に依拠し、判例の基準を示すこともしないのか」ということです。判例の基準を示した上で再構成する形なら分かりますが、判例の基準に言及することなしに基準だけ審査基準論に依ることは、本当に試験委員が求めている形なのでしょうか。
基準定立過程や当てはめのみならず、基準そのものについても、判例を明示した上でその基準を批判して再構成する、という形をとればより良くなるのではないか、とは考えています。

9.終わりに

ご覧いただきありがとうございました!今回は、憲法の答案について、自分なりの考えを書いてみました。あくまで、いち司法試験受験生が、試験政策の一つとしての考えを記したにすぎませんので、その点はご理解いただきたいです。本noteで示した考えが良いか悪いかは、私の司法試験の評価によるのでしょう。未熟ながらも本番は色々書いたので、どの程度の評価がくるのかは楽しみです。
また、本noteは、質問箱での一つの質問をきっかけに書いています。皆さんいつもご質問していただきありがとうございます!

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