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寄せ集め部隊/初仕事

パレッソさんからの依頼は、キューバの軍隊から派生した傭兵部隊が直面している手配組織を倒す事。
標的は違法な密売組織だ。たゆまぬ調査の末に取引を行うことが明らかになった。
俺たちは奴らを倒すためにそこに向かう。
人手が足りずに困っているというから、俺たちが一旗あげるにはいいかもしれない。
キューバの公用語はスペイン語。でも、スペイン語を話せる人がいない。けど、それは安心。手を組む彼らは全員英語か日本語が話せる。
俺たちも当然勉強してきた。みんな日本語が話せるのはありがたい。
「よく来てくれました、司令官のヘリソジャです。ご足労いただきありがとうございます。
あなたたちが協力してくれる人たちですね。わざわざ俺たちなんかに、ありがとうございます。パレッソのやつ、あいつは仕方ないヤツなんです」
物腰柔らかな老紳士、と言った男性がリーダーらしい。
パレッソさんとは旧知の仲で、学生時代から仲が良かったらしい。
彼は面白おかしく冗談を言いながら話してくれた。
そんな傭兵団の人たちと、非道な組織を全滅させに行く。

俺たちは数人の兵士と共に別動隊として行動する事になった。
そういえば、関係ないかもしれないが、グリムスさんは犬を飼っているらしい。
今は親友が預かっているが、落ち着いたら戻ってくる、と言っていた。犬は大好きだ。実は結構会ってみたいけど。
さぁ、集中しよう。俺たちの任務だ。
「さて、初仕事だな」
グリムスさんが変わった形のマシンガンを
「やるか」
松井が映画とかで大活躍しているスナイパーライフルを
「行きますわよ、皆様」
「ええ」
「はい」
みんなが買った銃の装填音が聞こえてくる。
俺も、海兵隊の時からずっと使っていた銃にお店で買った部品をいくつか付けた。
俺の武器はアメリカで有名なアサルトライフル・M16A4だ。
こいつを持って何度か作戦に参加したが、撃つ機会はなかった。でも、人を撃つ覚悟ができていなかった当時の俺にはそれでよかったかもしれない。

場面は、冒頭に戻る。
地面を舐めるようにゆっくりと進む。松井が狙撃を務めるから、俺が観測をする。スナイパーはよく映画などでは1人で行動するが、実際にはスポッターと呼ばれる視界の補佐役が必要。俺は望遠鏡を構える。
便利な事に、望遠鏡には測距儀が内蔵されている。
「連中まで1450メートル。どうだ?」
どうだ、というのは銃の射程だが、撃って当てられるか?という意味で聞いた。松井の答えは・・・
「もう少しだ。1週間で練習して、なんとか長距離からの攻撃が当たるが・・・もう少し近づく必要がある。この距離では自身が無い」
「あぁ。そうだな」
パレッソさんからは時間に余裕があると言われていたから、その時間を使って俺たちは射撃練習をしまくった。
「ここでいい、マイク。奴等を見ていてくれ」
「了解。任せろ」
「全体通信、狙撃ポイントに到達した。距離、1400。風が消えたら射撃する。切り込むタイミングは任せる」
長い銃を構えて伏せている。
「無理はするなよ。他に動けるメンバーには迂回して近付いて貰っている。タイミングを合わせてくれ。ただし、ひとこと言ってくれよな」
俺も、ちゃんと観測の役目を果たさなきゃ。
「風が止んだぞ。撃つ」
松井は緊張しているだろうけど、それを押し殺して悪人を成敗する決意と覚悟を決めているんだろう。
「よし、行動開始だ!!」
轟音。
12,7mmの並外れた大きな質量をもつ銃弾が高速で飛んでいく。
そう、松井が選んだ銃はバレットM82A1。
対物ライフルと呼ばれる、敵の物資や軍用車両を攻撃するために作られた、超強力なスナイパーライフル。
大きく重いけど、その攻撃力はとてつもない。
その重い銃弾が、サングラスをかけた兵士めがけて飛んでいく。
「どわっっ!!!」
そいつは悲鳴を上げる暇もなく倒れた。
強すぎる運動エネルギーを喰らった人の身体には当然大きな穴が開く。
対物ライフルはその上を行く。男はそのまま上半身と下半身で別れて倒れて行った。
「うっ・・・」
松井が俯く。酷い事をしてしまったと思うのは当然だ。
俺はかける言葉が見つからずに、ただ松井の肩に手を置いた。
だが、合図を聞いたみんなが飛び込んでくれるはずだ。
それを待とう。

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