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寄せ集め部隊/カーリマンの誘い

「あぁーいろんな意味で疲れたぜ」
俺は銃の点検をしている。あの作戦が終わってから今日で3日になるが、自警団員の調査は順調で、俺たちの出る幕は無さそうだったから休暇を楽しんでいる。M16は立て掛けたままだったが、銃の手入れはしっかりしないと危険だ。暴発なんてしたら大変だから、銃の保管にも気を付けている。
「よっす、マイクさん!隣いいっすか?」
茶髪の青年が勢い良く階段を降りてやってくる。
「来てもいいけど、つまんねぇぞ。カーリマン」
「いえ、お昼何にするのかなって思っただけっす。俺もタコスくらいなら作れますし、評価して欲しいんすよ」
カーリマンは先日仲間になった、元気でパワフルな青年だ。
俺たちは、帰りの飛行機の予約を取って帰ろうとした。
しかし、せっかく来たんだからどうせならもう少しゆっくりしていこうとグリムスさんの発案で留まっている。その間は「それなら是非ともうちに」と自警団員たちの基地の部屋を借りている。
部屋割りは、グリムスさん、俺、クリストファー、松井、ガリアーノ。
女の子たちは2つ隣で、ノアルとクフォンが一緒。
この広いアパートは自警団員の社宅らしい。
毎日カーリマンや自警団員の人たちが、ギターを弾いたり走り回ったり、お使いに飛び出してはメキシコならではのご飯を用意してくれる。
グリムスさんは設備や銃についてお偉いさんたちと話し合っている。
カーリマンが中央広場で引くギターの音色が聞こえてくる。

俺が銃の手入れを終わらせてM16をスタンドに立て掛けた瞬間、
「奴等の居場所を掴んだ!出発の準備を。繰り返す。奴等の居場所を掴んだ、出発の準備を!」
「うわっびっくりした!そうと決まれば!」
俺はさっき掃除してそっと置いたM16を一瞬でガッシリ掴んで走る。

目標はメキシコシティ郊外の名前も地図に無い場所。本当にここに潜伏しているのか?と思ったら、
「怪しい人影だ。12時」
松井の静かな声が隣で聞こえた。俺も双眼鏡を取り出して見ると、大きな包みを抱えたおっさんが小走りで掘っ立て小屋の中に入って行った。
「マイクさん、絶対アイツっすよ」
「そうだな。行くか」
カーリマンの銃はショットガン。支給された武器が肌に合わず、自警団員に入った時の初任給で思い切って買ったらしい。
「一張羅みたいなもんっすから、大事にしてます。それじゃ、行きますか」
作戦はこうだ。まずは松井が見張りを狙撃。自警団員の人たちで逃げ道を塞いでもらう。制圧や牽制射撃はノアルとクフォンのサポートに任せて、俺たちでアジトの掘っ立て小屋を叩く。
「行け行け!!」
カーリマンがドアを体当たりで破る。俺がすかさずM16を構えてクリアリングを、するまでもない狭さの通路を進む。とはいえ、突然死角から敵が飛び出してきてもわかるようにゆっくりと落ち着いて。
後ろからカーリマンが付いてきている。
次で終わりにしよう。奴等は2段構えだったから手間はかかった。
目の前のドアを俺が蹴破ると、慌てた様子の男がいた。
「お、お前ら、なんでここがわかったんだ!撃ったら逃げただろ」
眼を見開いて焦っている男。
「こいつさ」
俺がポケットから取り出した追跡装置を見せる。
「発信機!?やられた。この国から逃げられるとたかを括っていたら、あっさりやられちまった。潮時だ。残ったのは俺だけだ。大人しく捕まるよ」
両手を上げて動かなくなった男の表情を見る限りは嘘は吐いていないだろう。
「物分かりが良くて助かる。君を自警団に引き渡す。素直に投降したから乱暴はしないだろう」
グリムスさんが連れて行く。すんなりと応じて付いていく男。
俺たちは輸送車に揺られて帰ってから雇ってもらった上層部に提出する報告書にはこう書いた。
「こちらの死傷者は無し。解決は想像以上にあっけなかった」
大筋は自警団員の人たちがまとめてくれると言っていたからこれを預けた。
弾薬費や整備費用は報償金の一部になっていて、お偉いさんに請求できる。
この報償金でみんながご飯を食べられる。少なくとも俺はそれでいいと思っている。

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