寄せ集め部隊/集中攻撃
司令部と思しき部屋に侵入し、その場にいるチンピラを倒した後。ノアルは周辺警戒、ガリアーノが連中の持ち物や何かしらの情報の有無を探っている。
「ありました、お嬢様。鍵付きの引き出しにディスクが入っていました」
「見せてくださいまし?」
唯一銃を持っていたから最初に攻撃した1人の胸ポケットに入っていた鍵。ガリアーノが見つけて、途端に目についたのが引き出しだった。
「メモがありますわね」
ノアルがケースの裏に張られたメモを見つける。
そこに計画の全容が書いてあった。
いざという時のため予備を渡しておく。これには作戦の計画データが入っている。念のため警護していてくれ。
ディスクが破損したり失くした際は、お前らの家族が責任を取ることになる。
「とのことです。人質を取っていたようです。この方々に報いを受けて頂くために司令部に持ち帰り、確認しましょう」
廃工場の敷地から出るまでは警戒をして、出た後は再び帽子やジャケットで街に溶け込む。
それでも追手がいないか、目を光らせながら司令部のビルに向かった。
「ガリアーノです、進捗状況を報告します」
「お、来たか」
「情報を獲得しました。廃工場の構成員は倒し、一通り探索もしたので司令部に届けに行きます。
地図を見ながら向かっていますので、もう10分ほどで着くかと」
「わかった。気を付けてな」
「お気遣いありがとうございます。以上です」
接続が切れた。支部の1つを制圧したらしい。
ガリアーノとノアル、クフォンは司令部に手に入れた情報を持っていくために街の中を歩いている事だろう。
今、俺は街を歩いて発見報告をし続けている。
担当する場所には、俺の足で得た成果から、構成員には危険な手配犯も多くいる事がわかった。
それだけではない。俺の他にも街に降りて、取引を持ち掛けるように装って暗殺する自警団員が付いてきてくれている。
彼らは卑怯な事はしたくない。正々堂々と立ち向かいたいと言って渋っていたが、悪質な奴等に卑怯もないだろうと反論した。そうしたら彼らもそれはそうだな、と納得してくれた。
そして松井の方は、本部で内部の監視を行っている。
今回は、勉強になるからやってもいいと言われて、素直にそうした。今は観測手をやっている。
自警団員の1人の装備、狙撃銃にサプレッサーが付いている。人の目が付かない場所に誘導して狙撃して、地道に1人ずつ倒していっている。
人員はM24にサプレッサーとバイポットを付けている。
バイポットは銃を支える2脚だ。カメラの3脚と同じ。
重量のある機関銃、対物ライフル、狙撃銃などに標準装備。松井のM82とグリムスさんとノアルの機関銃にも付いている。もちろんその分の重さは増してしまうが、安定させたい時などに心強い。
狙撃をするときは特に。
「見つけた。距離と風はこの通り」
寄せ集め部隊オリジナルの単眼鏡には、風速と距離を表示できる(超)便利機能付きなんだ。
グリムスさんとパレッソさんが試行錯誤を重ねて、この前ようやく完成したと渡してくれた。
それでよほどの事が無ければ風と距離がわかる。
「誘導を開始する」
下に見えるのは敷地に潜入してこっそり隠れた人員の1人。
1人ずつ確実に、気付かれずに倒していくのに必須な役割だ。
「ん?なんの音だ」
彼が立てた物音に引き寄せられて悪人面の男が建物の角を曲がる。
「仲間がぁ!うっ・・・」
増援を呼ぼうとした男の額に、静かに射出された強力なM24の7.62mm弾が直撃した。「命中」と呟いて松井の知らせと単眼鏡の性能に感謝をしつつ、ボルトハンドルの取っ手を上げて、手前に引いて空薬莢を排出する。
さっきと同じ動作で戻してボルトハンドルを押す。
特有の装填方式を持つボルトアクション式の銃の個性。
「次の敵を探すぞ」
潜入した人員の、熱のこもった声が彼らの無線越しに聞こえて来た。
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