寄せ集め部隊/足で稼げ
ハウウェルさんから請け負った、というか共同進行の調査。
対象は危険視されている犯罪組織の行動の把握と構成員、アジトの分布の調査。こいつらは過去に大規模な強盗や様々な事件を起こしている。
奴等の元締めは捕らえられたが、残存勢力がいる可能性か十分にあり得た。そして、それは正解だった。
水面下で組織を拡大していった奴等は警察の介入をお金で退けていた。そこで、より危険度も武装も未知数の連中には近付くのも危ない。だから俺たちとペルー陸軍の小規模部隊がコソコソ調査に乗り出した。
現地の小隊と一緒に市民を装って街に溶け込み、徹底的に居場所を探り始めた。
今回の出撃メンバーは俺(攻撃)、松井(狙撃)、グリムスさん(援護)。そして、新たに加わったクリストファー(看護)がいる。
たった今、グリムスさん率いるβ班の活躍により、勢力の多くが廃工場に潜んでいることが分かった。
彼らは遠くのビルの屋上から望遠鏡で覗いている。
無線での進捗状況を報告を聞いていた俺は、
「っ!構成員を見つけた。路地裏から雑居ビルに入っていく」
癖毛の青年がタバコを吸いながら狭い路地に姿を消した。
こいつは、顔が割れている、判明している構成員の1人だ。
組織が起こした強盗ではこいつが運転した車で逃げた。
ハウウェルさんは、要注意リストの中でも動機不明の犯人の1人として目を付けていた。
でも、見つけても確保はしない。奴等は妙に人員が多い。
1人が捕まってもあっという間に情報が伝わって、残る多数は行方をくらませてしまう。
だから、特定の場所に追い詰めて、一網打尽にする作戦。
慎重に構成員を見つけた場所を作戦本部に連絡する。
今回は、一部の陸軍と地元警察、寄せ集め部隊による合同作戦だ。ハウウェルさんは司令塔になって大雑把な、それでいて鋭く的確な指示をくれている。
あ、ここに来ていない他のメンツはどうしているかって?
時間は調査開始の少し前に遡る。
ノアル、クフォン、ガリアーノには過激派思想集団の討伐に行ってもらっている。訳の分からない勝手な主張を並べ立てて気に食わない考えは武力で抑える連中だ。
奴等の被害にあって町全体を放火された所もある。
だから、今回はそんな奴等を少しずつ数を減らして一気に叩くやり方で行くことにした。気付かれない程度に、少しずつ。気付いた時はもう遅い、そんな風に。
ガリアーノが持つ銃、マック11はボディガードが緊急時に使う小型のサブマシンガン。
それに銃声を静かにできるサプレッサーと呼ばれる、銃口を長く引き延ばした様な追加装備を新調した。
これにより、響く銃声もかなり静かになる。
言うなれば暗殺にも向いている。
今回は連中の中で目上の構成員が持っている情報を回収し、地元警察に証拠として提出する。彼女たちの任務はそれだ。
だが、たった3人で向かわせるのも酷な話し。最初のうちは見て学ぶ。軍人もスポーツも、なんでもそこは変わらない。
こちらはメキシコの非正規自警団が協力を申し出てくれた。
彼等も、奴らに痛い思いをさせられたんだ。
過激派集団の奴等と同じ国、そして彼ら、自警団全員は生まれ故郷に拠点を置く。だからこそ、市民を巻き込み、自国の平和を揺るがす危険分子が許せない。
そう。彼らは人一倍責任感が強かった。
無線で今回の指揮権を持つ隊長の声が響く。
「行こう、みんな。故郷を守るんだ」
次に、寄せ集め部隊の3人に。
「よろしく。付き合ってくれてありがとうな」
最後に彼はこう言った。
「アイツらを倒そう。悪だくみは、もうさせないぜ」
2つの任務が始まった。
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