寄せ集め部隊/談議
「皆、良く集まってくれた。一応、この場は私が取り仕切ろうと思う。異論はあるかい?・・・ないな。では始めよう」
グリムスさんは、俺が抱いている夢と、自身の考え、ここに至るまでの経緯を細かく話してくれた。
「君からも説明をしてくれないか?不備や間違いがあったかもしれない」
「わかりました」
俺は緊張で冷や汗が凄くて手が震えている。声が少し上ずってしまう。
「マイクです。緊張していて変な感じかもしれませんが、俺自身がどうしてこんなことを考えるに至ったか・・・せ、説明します」
「皆、失礼・・・マイク君、ゆっくり深呼吸をしてくれ。落ち着いて話そう。背筋が張っているよ」
「ありがとうございます・・・。すみません。改めて。俺がここに来た理由は、俺の理想を現実をしたくてここにいます。俺は・・・」
ここから、志している世界を在りかを言葉足らずなりに伝えた。長い時間をかけて。
俺の話しが終わった後、1人ひとりに挨拶をした。
続いて隣に座る黒髪の少年が立ち上がった。
「初めまして。感銘を受けて来ました。俺は、松井と言います。皆さん・・・あまり緊張し過ぎると良くないかもしれないので・・・その・・・まぁ、よろしくお願いします」
彼はスッと一礼して座った。
唇を噛み締めて微動だにせず座っている俺含むみんなの様子を見かねたグリムスさんが、
「少しいいかな・・・ここにいるのは仲間だ。諸々の事情はあれど、悩みや夢を抱えているのは同じだろう。上下関係なしで敬語は無くしていこう。いいかい?」
距離感が縮まる素晴らしい問いにみんなは頷いた。
それから少しずつピリピリした空気が和らいでいった。
段々と話しやすくなってきた空間でそれぞれが口を開き始める。
右隣にはさっきの松井慶斗。
弱い自分を変えたくてその中で出会ったライトノベルに感化されて、その熱意が滾っているときにタイミングよくここで機会を得ることができた、穏やかな口調の高校1年生。俺の当時より300倍立派でしっかりしたヤツだ。
2つ隣はアルダンテ・グリムス。俺を応援してくれる頼もしい人。苗字は最初の手紙で自己紹介してくれて知っていて、日本に移住して過ごした時間の方がナポリより長くて、日本語が染みついていると言っていた。
3人目はノアル。ヨーロッパの貴族らしいが、親友との身分の差が嫌いで両親を説得して家出したと言っている。
気楽に接して欲しいと。
彼女を執事は安全保障として共に遠くからやってきた。
4人目はクフォン・エーラネン。銀髪の綺麗な顔立ちの女の子。弱い立場の人々の味方になりたいと。彼らに希望を与えてあげたいという目標があり、祖父が昔から思い描いていた意志を継ぐ。実行に移そうとしたが、抑圧されて叶わなかった。だからそれをやりたいと言う。
5人目は当然俺。
「私がいつか大きな夢を誰かと叶えるために貯金を切り崩した。別荘的な建物を買った。皆は良く知らない者たちと共同生活を送るのは不安かもしれないがな。それでも、いいというなら答えを貰いたい。前向きであればこの番号に電話をしてくれ」
そのあとは手数をかけてしまった、と言ってグリムスさんがお詫びにと高い茶葉をくれた。
あの場にいた何人が本気かはわからないが、俺の答えは決まっている。何度も聞くまでも無いが、そうに決まっている。
よし、行くぞ!!
その前に、帰るのが面倒だから俺は数日安めの宿を探して泊って行こう。その間にずっと行ってみたかった、でも偶然に偶然が重なって毛が届いた日本の実地調査だ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?