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寄せ集め部隊/新生活

「テレビそっちね。あ、椅子はそこがいい」
「ここか?」
「もうちょっと右」
「よし」
俺らが全員で買い出しに出た”オペレーション・拠点改修”。
勝手に俺が命名した味気ない家を、どうせならもっと生活感が溢れる感じにしていきたいと今に至る。
それぞれの部屋に置きたい物を置いたり並べたり、自由に好みの空間を組み立てていった。
1階は玄関を入って右手にソファとテレビを置いて、居間に大きめの低い机を置く事にした。グリムスさんの言う日本の間取りで完成させていった。
寂しいスペースには本棚を置いたりしてみたら、結構いい感じに仕上がった。
「よし、これで終わった。完璧だ」
棚にWi-Fiルーターを置いて、一番上に固定電話を置いたら感性。俺らの家。
「ひとまず、こんなことろか」
そのまま買い物第二ラウンド。と思ったが、今度はグリムスさんだけがさっさと車で行ってしまう。
暇になった俺は部屋に戻って筋トレを始めた。
海兵隊時代にトレーニングを教えてくれた教官のメニューは今も続けている。何度やってもやっぱりキツい。でもできないほどじゃない。
絶妙な難易度のワークアウトを個人に合わせて考えてくれたいい教官だった。大きな作戦が終わればステーキを奢ってくれた。そのお金はちゃんと返したぞ。
メニューを終わらせて腕が痛い中俺は暇そうにしている松井を引っ張り出した。
家の近くの広い遊歩道は、自転車で走ると風と自然を感じられて最高に気持ちいい。
もうすぐコンビニを通りかかるから買い物でもするか。
「松井、なんかオヤツでも買うか?」
「さきいか」
「渋っ!お前幾つだ!」
「16。」
自転車で遊歩道を走って20分。平和な時間の確保も俺の務め・・・だと思う。
コンビニに着いた俺はいつも通りスナック菓子とお茶を買った。松井はサイダーとさきいか。
みんなの分もお菓子を少々。
「俺、サイクリングが大好きでさ。ここも走ったんだが、いい場所だったから一緒に走りたかった」
「私も自転車は好きだ。仲間だな、マイク」
「そいつぁ嬉しいね。今度一緒に行くか」
「乗った」
「?」
帰り道、ポケットの中の携帯が鳴った。
振動が短かったからメールだな。
「ちょっと待った。メールだ」
自転車を止めて確認すると、グリムスさんからだった。
短い一文だったが、それだけで十分だ。
「新しい仲間、だってさ」
「そうか。また増えるな。誰だろう」
嬉しくなった俺はギアを上げて安全に支障が出ない程度にスピードを上げて帰った。

この前部隊会議での大きな議題だった新しい仲間。
裏切られて、世間から疑いの目を向けられるようになった人。俺たちがコンビニにいる頃、大きなスーツケースを持った白衣の男性が家にやってきた。
「紹介する。彼は・・・」


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