なんか残念だなあと思うこと
プロフィールにある通り、ぼくは研究者でした。現在は民間の会社で技術開発職をさせてもらっています。
自分でいうのもなんですが、ぼくは研究者としてそこそこ才能があったと思います。論文もそれなりに出せたし国内外小さな賞をいくつかもらえたし。
研究者として一本立ちできるよう後押ししてくれる方もいらっしゃいました。期待には応えられませんでしたけどね。
そもそも研究が好きです。いまでもそうです。研究が好きであることが一番の才能だというのは、よく言われることですが実感しました。
自分に欠けていたもの
アインシュタインでさえ努力が大事といっているくらいなんで努力は大事なんですよ。
学生のころのぼくも、はたから見たらめちゃくちゃ努力してたように映ったはずです。本人はおもしれえから止まらねえってだけだったんですけどね。
ただ飽きっぽいんですよ。あと、もっと関心のあることが現れるとやめちゃう。たとえばおカネとか待遇とか子供とか。学校出てアメリカ行った当時は恵まれてたんでね。
学会とかで日本へ帰ってきても、普通に名前知られてるし、知らない分野に首突っ込んでも関心持ってもらえるし、やっていけると思ってた。
ただ、偉い人に言われました。「おまえさんはそこそこだけどずば抜けてはいない。そこがダメなんだ。」って。
ずば抜けていれば時々飽きてサボってもOKなんだけど、まあおれくらいの才能がある人間は「升ですくうほど」とまではいわないが複数みたことがある。
怠ければ怠けてない人に追い抜かれるもので。アメリカでも、「どうってことねえな」って思ってた同僚がみるみる力をつけて気が付いたら歯が立たねえ、とか。やつらガッツあるし。
とはいえ日本の科学界はまずいと思う
とはいえ、「複数みたことがある」自分とおんなじ程度の才能を持った人は、いるけど多くはないわけで。
すごい人はマジですごいんだけどね。
しょぼい人もまあまあ本格的にしょぼい。はっきりいって向いてないと思うし、本人も自覚してたりするから余計にかわいそう。
むかしはしょぼい人には親方が「向いてないからほかの事しろよ」と声をかけてくれたもんですが今は違う。
まあとにかく器の小さい親方ばかりになったもので、向いてない人を好んで残すようになった。
自分が食われると怖いから。
それでも学者かよ。もちろん昔気質の「おれくらい潰せるようでなきゃ全然だめだ」って人はいるけど数えれば片手もいない現状。
ぼくは前の分野の前線から身を引いてほぼ10年になるけど、現役なのにまだぼくの業績に全然およばない人たくさんいるよ。向いてないのね。
仕組みの問題でもある
ぼくは結局のところ大学教員になっていないけれど大学のなにかになったことは何度かあって、こりゃ問題あるなと思ってますね。
むかしは教授が親分で助教授が実務担当で助手がにらみを利かせて、学生はビビってればよかった。
教授が講座(研究室)の親分でその下に教員である助教授や助手を従えることができる仕組み。
一般の人の多くは大学ってのはいまでもそうだと思ってるでしょうね。
違います。
「おお、平等でいいじゃん」ってのは聞こえだけ。
まいってしまうのは助教(かつての助手)や准教授(かつての助教授)。
業績も予算獲得実績も教授たちにかなうわけないのに予算も研究室運営も授業も演習も学生の面倒も全部一人親方状態。超絶ブラック。安いし。残業代ないし。
研究なんてできるわけないし論文もかけないから予算も獲れないから研究できないので論文書けない無間地獄。
と、いうわけで日本なら民間でよかった~
最初から教えてくんねえかな。
ぼくはアメリカでしょぼい大学でもいいならしがみつけたと思います。そうすりゃ年金の心配もないしカネもそんなに悪くないし帰国してからのまあまあな地獄も味わわずに済んだ。
けどどうだろうか。「おれはもっとやれるのに」と思いながらしょぼい大学で教員を続けていたらいまごろ病んでたかもしれない。
「グッドウィルハンティング」の心理学者みたくね。
まあとにかくすんごい偶然のごちゃまぜでいまの会社に拾ってもらい結局のところ、一番よかったんじゃないかと思ってますね。
だって、
1.研究職とはいえけっこう畑違いだからダメでも落胆されない(っぽい)
2.昔ながら系の会社で中途採用なので出世しない=らくちん
3.昔ながら系の会社なので歳くってると給料は高い
給料には全く文句ないし、いろんなサポートはアメリカ以来の手厚さだし、残業代も出るし責任も大したことない。おまけに定年まで雇ってくれるんだから。
まあとにかくゆとりができた。逆に日本の公的研究職の扱いはひどすぎるね。もうしらんけど。ばいば~い。
大変よくしてくれる会社には申し訳ない。けどね、まあつい最近からだけど結構がんばってます。まじで。
「おっさんだから」はウソっぽい
おっさんだから畑違い=新しいことたくさん覚える、はムリに決まってると思い込んでました。
そんなことないね。
たしかに単純な記憶力が落ちたことは認める。ただし、これまでに蓄積した畑違いの知識や趣味のプログラミング知識などなど案外、よもやよもやの活躍をしてくれると判明。
なので、いまは元気にやってます。