裁判員17人の声 ある日突然「人を裁け」と言われたら?
内容
裁判員を経験した17人の声を集めた本
タイトル通りである。
インタビュー形式で裁判員経験者に、
自身が経験した裁判について、
丁寧に、リアルな声を記載している本である。
17人の裁判員経験者は、
多種多様な裁判を経験している。
冒頭には裁判用語が解説されていたり、
最後には現在の裁判員制度の課題や、
裁判員の負担についての問題点、
等も記載されている。
それぞれが体験した裁判を元に、
この国の司法について改めて考えるきっかけになる内容である。
感想
こういう本を探していた。
大学で法律を学び法学士を得て卒業した自分にとって、
裁判員制度というのは非常に興味深い内容。
しかしながら体験者の著書なんてほとんど見当たらない。
体験者の声を実際に見ることができるこの本は、
まさに探し求めていた作品である。
全体通しての感想は、
皆さん立派に勤められたのだと感服。
程度の差はあれ、
全員達成感を感じていた模様。
自分に直接関係の無い事件の、
罪の有無と量刑。
これを真剣に検討する。
貴重な経験であると思う。
実際に貴重だと感じた人も多かった模様。
推定無罪の原則、
守秘義務、
これらもしっかり約束されている印象。
裁判員制度は、
2024年で制度開始から15年らしい。
昨年からは18歳も裁判員に選ばれる制度に変更され、
この国の成人であれば誰でも参加する可能性ができた。
裁判員に選定される確率は、
およそ0.01%らしい。
かなり低い。
選ばれる事自体が稀である。
選ばれたいなと思う反面、
精神的な負担も考えられる。
日本の場合、
有罪か無罪か、
そして量刑、
までを裁判員が検討する。
この国では死刑制度があるため、
場合によっては死刑を宣告することもありうるのが裁判員制度。
自分は経験したことが無いので不明だが、
他人の人生を左右する決断、
時には死を宣告することも。
どれほどの重荷だろうか。
精神的な負担は計り知れない。
17名の中でもこの精神的な負担の部分に懸念を持つ人は多かった。
どんな裁判に当たるのかも運である。
本当に突然裁くことになるのである。
全く知らない他人を。
実際に裁判員を経験した人には敬意を表したい。
本に関係ない個人的な意見として、
この裁判員制度は賛成。
裁判官は、
法律を極めた人という認識だが、
そもそも法律とは、
国民一人一人が社会はこうあってほしい
という願望を凝縮したもの
だと思っているので
国民それぞれの意見を
判決に反映させることは
悪いことではない
と
思う次第
本当に目の前の人が罪を犯したのか
神のみぞ知るとはまさにこのこと
人間が全てを把握するのは不可能
真実なんて誰にもわからない
それでも
国民が社会の秩序を守るために
一定の決断を下すことは
国家として最低限必要な事
昔好きな弁護士ドラマで
こんな感じのこと言ってたような…(笑)
おススメ度
☆
探し求めていたのがまさにこのような本。
裁判員を経験した人の声を集めた一冊。
文句の無い内容である。
興味の無いジャンルだと思う人も、
一度手に取って読んでも損はしない。
裁判に無関心な人も、
成人であれば誰でも裁判員になる可能性がある。
勉強するべきことでもないので、
知識を入れ込む必要は無い。
法律に詳しくない人の意見を取り入れるための制度でもある。
それでも
17人が裁判員を終えて感じたこと
裁判に挑んだ想い
判決の時の気分
ここだけでも読んでほしい
案外この国の大人もしっかりしてるんだなと
心変わりするきっかけになるかも知れない…
タイトル:裁判員17人の声 ある日突然「人を裁け」と言われたら?
著者:牧野茂 大城聡 裁判員経験者ネットワーク
出版:旬報社