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この世は本当に弱肉強食なのか?

「この世は弱肉強食だ」とよく言われます。強い者が弱い者を支配し、弱い者は淘汰されていく。そんな構図が、この世界の本質を表していると考える人も少なくありません。しかし、果たしてそれは本当なのでしょうか?現実の世界が本当に「弱肉強食」で成り立っているのかを考えるために、まずはRPG(ロールプレイングゲーム)の世界を例にとってみましょう。

RPGの経験値システムが示すもの

RPGの世界では、モンスターという「経験値を供給する役割」の存在があり、それを倒すことでプレイヤーキャラクター(勇者)が成長します。倒した相手の力や経験を吸収することで、能力が向上し、より強力な敵と戦うことが可能になる。こうした仕組みは、ゲームとしての達成感を高め、プレイヤーに明確な成長の実感を与える優れたデザインです。

この世界では、「弱者(モンスター)」が「強者(プレイヤー)」に完全に利用されることで成立する「弱肉強食」の構図が明確に描かれています。プレイヤーにとっては爽快感があり、目標に向かって進む動機づけにもなります。しかし、この仕組みを現実社会にそのまま当てはめることはできるのでしょうか?

現実世界における弱肉強食の現実

現実の世界では、RPGのように他者を倒して経験値を吸収し、自分の能力を向上させることはできません。他者を倒す行為によって得られるのは物理的な資源やエネルギーに限られ、相手の知識や経験を直接自分のものにすることは不可能です。人間の成長は、独自の学びや努力によってのみ達成されるものであり、他者から奪うことで成し遂げられるものではないのです。

さらに、現実社会には法や倫理の制約が存在します。他者を「倒す」行為そのものが重大な罪とみなされるため、RPGのような「弱肉強食」が成立する場面はほとんどありません。このような制約があるおかげで、現実の社会は比較的平和で安定していると言えるでしょう。

RPG的弱肉強食の魅力と限界

RPGの経験値システムは、プレイヤーにとって非常に魅力的な仕組みです。倒した相手の力や経験が自分のものとなり、成長が目に見える形で感じられる。この明快さと達成感は、ゲームの中でこそ成立するものです。

一方で、現実の世界では、同じような仕組みが機能しないからこそ、私たちはより複雑で継続的な成長のプロセスを必要としています。他者を倒すのではなく、協力し、学び合いながら成長することが求められるのです。RPGのシンプルな弱肉強食の仕組みは、あくまで仮想世界の中で楽しむものであり、それを現実に持ち込むことは難しいのです。

結論:現実の成長とは何か?

「この世は弱肉強食だ」と言われることがありますが、現実の世界はRPGのような単純な構図では成り立っていません。人間の成長は他者を利用するのではなく、自らの努力や経験によって達成されるものです。
RPG的な弱肉強食の世界観を現実に当てはめようとするのではなく、現実社会に即した方法で自己を高める必要があります。それは簡単ではありませんが、より深い満足感と持続的な成長をもたらすものです。

ゲームの世界の魅力を楽しみつつ、現実の中でどのように成長すべきかを考えることが、私たちにとって重要な課題ではないでしょうか?

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