イベントレポート「メガヒットマンガで学ぶ、いま求められるジェンダー表現とは」
こんにちは。セプテーニグループnote編集部です。
セプテーニグループでは、サステナビリティ活動の重点テーマのひとつに「ダイバーシティ&インクルージョン」を掲げ、さまざまな取り組みを行っています。
先日、その取り組みの一環で、株式会社TIEWA代表取締役の合田文さんに登壇していただき、「メガヒットマンガで学ぶ、いま求められるジェンダー表現とは」をオンラインで開催しました。本イベントは、セプテーニグループのLGBT&アライネットワーク「SEPALLY RAINBOW」による企画です。
今回のnoteでは、そのイベントの様子をお届けいたします。
ぜひご覧ください。
はじめに、「LGBTQ+」について、ご説明いただきました。
「LGBTQ+」は約10人に1人の割合でいるとのこと。
しかし、職場において自身のセクシュアリティを誰かに伝えている割合はとても少なく、
「まわりにはいないよね」という周りの人の無意識の偏見と雰囲気がカミングアウトしにくい空気をつくっていることもあるそうです。
▼パレットークにはジェンダーやセクシュアリティについて実体験に基づくマンガが配信されています。
Palettalk Instagramアカウント (@palettalk_)
また、「SOGI」についてもご説明いただきました。
つまりSOGIはLGBTQ+の人たちだけでなく、誰しもが持っているもの。
LGBTQ+と聞くと他人事のように聞こえる人がいるかもしれませんが、
SOGIとは「性のあり方は誰もが持っているものだから、『LGBTQ+』と『それ以外』に分けずに考えよう」という言葉なのです。
▼パレットークInstagramより
次に、「LGBTQ+」当事者の困りごとや、周りの無意識の言動が招く影響についてお話がありました。
「LGBTQ+」当事者の困りごとの一例として、以下のようなことがあります。
周りが無意識に「ここにLGBTQ+の人はいない」と思い込んで接することで、当事者が透明化(いないことに)されてしまうという事例から、マイクロアグレッション(小さな攻撃性)についての説明もありました。
マイクロアグレッションとは、自分では相手を差別したり傷つけたりするつもりはないのに、結果として相手を傷つけてしまうような言動や行動のことです。
正面から暴力的な発言や差別をした意識はなくても、マイクロアグレッションという無意識の小さな攻撃の積み重ねにより、相手をつらい気持ちにさせる可能性があります。
▼パレットークInstagramより
これらの「LGBTQ+」に関する状況を受け、合田さんは、
さまざまな性の人にとってもっと生きやすい世界、
つまりマイノリティであることを自覚しても、このままきっと幸福に生きていけるというイメージが持てる世界にするためには、
当たり前に多様な人がいるということを子供のうちから知る必要がある、と言います。
そのためにも、幼いころから触れる機会の多い、マンガやアニメの表現がとても大事とのこと。
たとえば、合田さんが幼いころ好きだったアニメのジャンルは、戦隊アニメなどが多かったことで、
まわりの大人に「もっと女の子らしくしようね」と言われることがあったそうです。
男の子が好きなものを好きというのはもしかして「ダメ」なことなのかな、と思い、
「女の子らしさ」の押しつけに窮屈さを感じることがあったそうです。
そのような中、女の子が主体的に自分たちの夢を叶えるために戦っていくストーリーのアニメやマンガなど、
女の子の多様性が描かれている作品に出会ったことで救われた、と振り返ります。
続いて、昔と現在のマンガにおけるジェンダー表現、特に同性愛表現についてもお話がありました。
昔からマンガにおいて同性愛は描かれてきましたが、当時は「フェチ」や「禁断の愛」などの要素が強かったそうです。
また、子供向けマンガでは、特定のセクシュアリティを持つと思われるキャラクターを「オネエ」と呼ぶなど、ステレオタイプな描かれ方をされることも。
加えて、特に少年漫画ではホモソーシャルが強化されるような描かれ方も多かったとのこと。
「ホモソーシャル」とは、「同性同士の性や恋愛を伴わない絆や繋がり」という意味で、特に男性によく使われる言葉です。
「男らしい」とされるあり方は女性蔑視や同性愛嫌悪がベースとなっていることが多く、逆に“男らしくない“と評価されると「男として一人前じゃない」と扱われてしまうことがあるそうです。
しかし本当は、いろんな“男らしさ“があって良いし、「どれが優れていて、どれが劣っている」ということは決してありません。差別的な価値観をベースにしたホモソーシャルによって、傷ついたり生きづらさを感じたりする人がいない社会になってほしいと思います、とお話しいただきました 。
▼パレットークInstagramより
しかし、近年のマンガでは、同性愛の描かれ方に変化が見られ、バックグラウンドやカミングアウトの幅、性格や恋愛の仕方も人それぞれ、という描かれ方がされるようになっているとのこと。また同性愛はマジョリティの話を面白くするためのスパイスとしてではなく、理由なく存在するものとして表現されるように。
このように、多様な性を持つ人が理由なく存在し、ステレオタイプが解体される描き方が増えてきたとのことです。
▼合田さんはNHKで放送されたドラマ『作りたい女と食べたい女』のジェンダー・セクシュアリティ考証も担当しています。
最後に、「職場で性に関する噂話が回ってきたときに、どのような対応をするか」をテーマにミニワークショップを行ないました。
参加者から様々な回答がでる中、合田さんからは具体的にできる対応として、
「面白がって話に乗らない」「それ以上噂を広めない」「うわさが広まっていることを別の上司や組織を変えられそうな人に相談する」
などの選択肢を教えていただきました。
そしてイベントは「お互いの性のあり方を尊重する職場全体の空気が大切です」という言葉でしめくくられました。
▼パレットークInstagramより
参加者からは、
子供のころから読んだり見たりしてきたマンガ・アニメにも、
何気なくステレオタイプなジェンダー表現が描かれていたことを知る機会になり、
無意識に自分の中に根付いているものを見直していこうと思いました。
今回の学びを、今後の行動やD&Iの取り組みにしっかり生かしていきたいと思います。
合田さん、ありがとうございました!
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