見出し画像

いかなる花の咲くやらん 第8章第1話 祐常を追え!


和田義盛が湯本から三浦へ帰ろうとしていた時、大磯の辺りでお昼になった。子供たちもいたので、どこかで昼餉を食べようということになった。連れの朝比奈義秀と、「せっかく大磯に来たのだから、最近話題の虎という踊り子を座敷に呼んでみたい」
「曽我十郎殿と、良い仲だそうですが、ちょうど、十郎殿も大磯にいらっしゃるとききました」
「それは、ちょうど良い。十郎殿とも久しぶりにお会いしたい」
というながれで、二人を呼んで、酒宴が開かれた。
「本当に美しい方ですな。十郎殿が羨ましい」
「ところで、五郎殿はご一緒ではないのですか」
「五郎もおりますよ。お声がかからなかったので、遠慮して、控えております」
「何を、遠慮することがあるものか。五郎殿にもお会いしたい。ぜひ、お呼び下さい」直に五郎も座に並び、酒宴は続けられた。
「ああ、楽しかった。そろそろ夕方ですね。三浦まで今日のうちに帰らなければなりません。お暇致します」
義盛一行が帰った後へ亀若が来た。
「亀若ちゃん遅かったわね。他にお客さん?」
「ええ、今まで工藤祐経様のお座敷に居りました。たった今お帰りになったばっかりで」
「なに、工藤祐経と。兄上」
兄弟は目を合わせうなずきあった。
「急用ができましたので、ここで失礼させていただきます。永遠さん、また」
二人は、大急ぎで工藤祐経経を追った。
すぐに追いついたが、大勢のお供がいて手が出せなかった。
「すぐに大磯にもどっては、工藤祐経を追って出たと思われてしますので、三浦まで馬を走らせてから、大磯へ戻りましょう」

次回 第8章第2話 「亀若の決意」に続く

参考文献 小学館「曽我物語」新編日本古典文学全集53


大磯から三浦へ行く途中、葉山辺りの海です。
葉山からは海の向こうに富士山が見えます。
私の写真では、富士山は映りませんでしたが、
是非、行ってみて下さい。綺麗な景色です。
この景色は鎌倉時代も現在も変わらないだろうなと
思います。


今の三浦は一面の大根畑が広がる長閑な所です。
新鮮な大根とキャベツとマグロを買って来ました。

著者撮影

第1話はこちらから。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?