「東京茨城空港」の違和感
一時期、茨城空港の海外向けの愛称を「東京茨城空港 Tokyo Ibaraki Airport」とする話があった。
この場合の「東京」と言う名称は、海外から見た意味での「東京」である。
茨城空港は東京からは約100km。
ただ海外でも中心部からかなりはなれた空港はある。
ロンドン・スタンデッド空港はロンドンから約64kmはなれているし、オスロ・トルプ空港もオスロから103km、フランクフルト・ハーン空港に至ってはフランクフルト・アム・マインから120kmもはなれているが、フランクフルトを名乗っている。
ちなみに茨城空港から東京まではバスで100~140分。やや遠いが、移動できない時間ではない。JRから空港アクセス線を延ばせば、もっと便利になるはずである。
ただ「東京茨城空港」には地名的に違和感がある。
それは「東京」と「茨城」の地名を並べたところにある。
「茨城空港」とはその位置からして、茨城県にある空港という意味の名称である。確かにもともと東茨城郡にはあったが、郡名が空港名になったようにはおもわれない。
この「茨城」は地域的に「東京」と同じレベルの都道府県の地名であって、同じレベルの「東京」「茨城」が並んで表記されているのはおかしい。これでは東京都と茨城県の共同経営の空港のようである。
もし空港のある地名でもあり、自衛隊の基地名でもある「百里」に東京をつけ、東京百里空港(Tokyo Hyakuri Airport)であれば理解できる。
(ひろく見て)東京の中にある、百里という地名にある空港となるからである。
または現在空港が所属する地方公共団体の「小美玉市」の名称をとって東京小美玉空港(Tokyo Omitama Airport)でも良い。
日本レベルで考えれば茨城県を代表する「茨城空港」も空港名として妥当だろう。
ただ、世界レベルになれば、「茨城」でも「百里」でも「小美玉」でも同じである。
日本と世界の両方のレベルに違和感がないようにするならば「茨城」ではない地域名が良いと思われる。
結局、「東京茨城空港」は採用されないことになった。
外国向けの地名とはいえ、地名的に無理があったことが影響したと思われる。
地名は何が何でもつければ良いというものではない。
もしまた「茨城空港」に「東京」をつける話があれば、あらためて検討してほしい。