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能楽師『一噌流』笛方 十五代目一噌幸弘さんとのデュオ

安土桃山時代から続く能楽師『一噌流』笛方 十五代目である一噌幸弘さんとのデュオのライブが8日にあります。

もう15年ほど前、札幌のジェリコでライブをやっていたらふらりと現れた一噌幸弘さん。お能の笛を吹く方だと紹介され、笛持ってますか?何かやりましょう!と、それから2時間くらいフリーのセッションをしたのが出会い。セシルテイラーの話(なんと一噌さんはセシルと共演しているのだ)で盛り上がり、その後すぐに国立能楽堂の公演に演奏メンバーとして誘ってくれたのだ。垣根のない人柄に驚いてしまった。

能の古典からフリージャズ、西洋クラシック音楽まで幅広く、能管、篠笛など和の笛だけでなくリコーダー、角笛など世界中あらゆる笛を吹く一噌さん。能の世界観や間について学ぶことも多い。

一噌流の何代か前までは色々な手(フレーズ、譜)が存在していたそうで、ある時期に簡略化して一つの手にまとまってしまったのだと言う。一噌さんの家には、今では伝わっていないが古くから存在していた多くの手が残っているのだ。一噌さんはこれらの手が無くなってしまっては一大事だと思って、事あるごとにそれらの手を吹いて復活させようとしているらしい。でも周りからは、そんな手を知らないのでやめてくれー!と言われてしまうことも多いそうだ。それでも、機会を見ては、先人が編み出した素晴らしい手を消してはいけないと果敢に吹いているそうだ。

これって凄い話を聞いてるのではと思ったのですが…。

一噌さんの家には、代々伝わっている現在は絶えかかっている笛の譜があるのだ。もしかすると一噌幸弘さんがいなくなったら、これらの手は消滅してしまうのでは無いだろうか。今アーカイブ化するなり、残す活動をしないと数代前に一本化されたままの手が今後も伝わって行くことになり、本来あるはずであった多彩な手が消えて無くなってしまうのでは無いだろうか。もう背負ってるものの重さが半端ないよ!!安土桃山から続く歴史を次世代、未来に残せるかがかかっているのだ。

能楽以前には田楽、田楽能という芸能があり、それを再現するために、昔の資料を紐解き田楽笛という笛も一噌さんは創作している。オリジナルの田楽幻想という曲は何度も共演している。

能という伝統芸能の世界のど真ん中にいながら、様々な音楽に通じ、自由に笛を吹きまくる一噌幸弘さん。伝統である事は前衛であるという事を体現している稀有な演奏家だ。居合いの達人のような一音には、毎回驚かされる。

という事で、8日は『知られざる、笛の超絶世界』です。是非お越しください!

8月8日(木)一噌幸弘(能管, 篠笛, 田楽笛, リコーダー, 角笛, 他) 瀬尾高志(cb)
会場:公園通りクラシックス [渋谷]
 東京都渋谷区宇田川町19−5 東京山手教会 B1F
 open 19:00 start 19:30
 予約3500円 当日4000円
 問: 03−6310-8871

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