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肝臓系難病の一覧〜症状や治療法など

バッド・キアリ症候群(BCS: Budd-Chiari Syndrome)

■概要
 指定難病91。肝臓の血管の病気である。
■患者数
 300人程度
■臨床所見
 肝臓から流れ出る血液を運ぶ肝静脈、もしくはその先の心臓へとつながる下大静脈が狭窄・閉塞する。
■症状
 静脈の閉塞によって血流が悪くなることによる門脈圧亢進(胃・食道静脈瘤による吐血・下血、腹水・浮腫)、肝硬変の進行(肝性脳症による昏睡、血小板減少による出血傾向)。
■治療
 IVR治療、肝移植など。
■予後
 病型によって有効な治療法が異なる。肝移植が治療法の第一選択肢。病型によって再発する可能性が高いものもあるので治療法選びは難しい。
※ 病気の進行の速さは個人差が大きい。

 センズ代表の松田はBCSを患っている。闘病記があるので参照してほしい。

特発性門脈圧亢進症(IPH: Idiopathic Portal Hypertension)

■概要
 指定難病92。門脈圧が上昇して脾腫をきたす。
■患者数
 1,000人程度
■臨床所見
 門脈圧亢進・脾臓腫大
■症状
・腹水、吐血(胃食道静脈瘤)
・貧血(赤血球、白血球、血小板の全てが減少)(脾機能亢進による)
・肝機能低下は軽度
■治療
 食道胃静脈瘤からの出血コントロールする
■予後
 静脈瘤からの出血コントロールが重要! ここをちゃんとすれば予後は比較的良い(肝不全による死亡率は2%弱)。

原発性胆汁性胆管炎(PBC: Primary Biliary Cholangitis)

■概要
 指定難病93。胆汁は肝臓の肝細胞でつくられたあと、胆管を通り、いったん胆嚢で蓄えられた後十二指腸に流れこむ。肝臓の中の胆管で、胆汁がうまく排出できず抹消で胆汁が鬱帯することにより肝機能が悪化する。
■患者数
 4万人程度
■臨床所見
 ALP・γ-GTP(肝・胆道障害の指標)の上昇、抗ミトコンドリア抗体(Anti-mitochondrial antibody: AMA)の上昇。
■症状
・全身の皮膚掻痒感(胆汁に含まれる成分が血液中に逆流するため)
・骨粗鬆症(胆汁が減少してビタミンDの吸収が上手くいかなくなるため)
・眼瞼黄色種(胆汁が減少して血中コレステロールが上昇するため)
・進行すると肝硬変の関連症状。
※ 自己免疫疾患をしばしば合併する。
■治療
 ウルソデオキシコ-ル酸で胆汁の流れを改善する治療がメイン。他には、症状を緩和する治療を行う。
■予後
 早期発見でウルソ服用すれば約70%は良い。約30%は不良。

原発性硬化性胆管炎(PSC: Primary Sclerosing Cholangitis)

■概要
 指定難病94。胆管そのものに線維性狭窄が発生して、中枢側で広範囲で胆汁鬱帯が起き、肝機能が悪化する。
■患者数
 2,300人
■臨床所見
・ALP、γ-GTP上昇
・上肝内外の胆管拡張
■症状
・肝硬変の関連症状
・胆管炎
※ 多くの場合、無症状で進行する。
※ 潰瘍性大腸炎、クローン病などの炎症性腸疾患がしばしば合併(40%)
■治療
 ウルソデオキシコール酸の服薬、肝移植。
■予後
 肝移植が唯一の治療法だが、移植後の再発率は高い。
※ 病気の進行は個人差が大きい。

自己免疫性肝炎(AIH: Autoimmune Hepatitis)

■概要
 指定難病95。自己免疫疾患。
■患者数
 3万人程度
■臨床所見
 AST・ALT(肝障害を示す指標)の上昇、自己抗体陽性、IgG上昇。
■症状
 (進行した場合は)肝硬変関連症状。
 症状とは別に、ステロイド服薬による副作用が強いのでたいへん。
※ 他の自己免疫疾患を合併することがある。
■治療
 副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン)がメイン。
■予後
 早期発見でステロイドを服用すれば良い。

その他:肝外門脈閉塞症

 自治体によって難病指定されているところとそうでないところがある。

参考サイト

難病情報センター

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