#9 変わりゆく町 変わらぬ町の銭湯(武蔵小杉/今井湯)/町に出よう 銭湯浸かって 湯上りはセンターロードにて
きっとずっと変わらないものはない。それは町にも言える。
ただ、変わりゆく町の中で、変わらない文化の様なモノもある。
その文化が脈々と受け継がれている町に。
僕は、どうやら惹かれるようである。
今回、紹介させてもらう銭湯がある町もそんな町だ。
武蔵小杉。この駅名を聞いた時、多くの方はタワーマンションをイメージするだろう。
ただ、僕にとっての武蔵小杉は10代半ばから過ごした青春の恥ずかしさの詰まった町であり、高校を卒業して20年弱もたつのに、未だに駅に降り立った瞬間にあの頃の気持ちを思い出す不思議な町でもあるのだ。
そして、そんな母校から歩く事5分ほどのところに、今回の今井湯はある。何年か前にリニューアルがあり、建物や浴槽等は僕の高校時代とは変わっているが、そこにある文化の様なモノは受け継がれていると感じることの出来る銭湯だ。
少しぬるめの炭酸泉にゆっくりと浸かり、じっくりと身体を温めた後のサウナは心地よく、そこからの水風呂、休憩、シルキー風呂までの流れも申し分ない。ゆっくりとお湯に浸かりながら、ここならではの銭湯絵を見ながら過ごす時間も堪らない。湯上りにはゆっくりと、過ごせるスペースもあり、心地よくなる為の用意に抜かりがない。
湯上りには商店街をゆっくりと歩いてみる。川崎フロンターレのホームタウンということもあり、フロンターレ後援会のフラッグを見かけた。今年はクラブ創立26周年ということもあり、風呂好きには堪らないフラッグになっていた。
ゆっくりと商店街を歩いているうちに、センターロードへとたどり着いた。実は、武蔵小杉は多くの企業が開発拠点を置く町でもあり、夜な夜なサラリーマンが癒しを求めにやってくる酒場が集まる町でもある。武蔵小杉から新丸子へと向かう道もゴールデンルートではあるが、今回はセンターロードをチョイスした。
何故だか分からないが何となく落ち着くというあの感じが入った瞬間に感じられる酒場が僕はとても好きで、大体、こういう酒場のこういうメニューは美味しいと身体が反応する様になってきた。
まずは瓶ビールを注文し、合わせて焼き物を発注。焼き上がりと待つ間に、チビチビと瓶ビールを飲む時間も、僕の好きな時間だ。
そうこうしているうちに、焼き物が焼き上がり、運ばれてくる。冷めないうちなるべく早く食べ、旨い油をビールで流していく、この瞬間が堪らない。やはり、ビールはのど越しを楽しむものだと実感できる瞬間でもある。
銭湯からの酒場へと来たら、〆のラーメンを食べたくなるのが酒呑みの性。ただ、呑んだ後に美味しいのは醤油ラーメンということで、昔ながらの中華そばを食べる事が出来る丸源さんにて。海苔がスープに浸からない様に出してくれる配慮もとても良い。
まだまだ変わっていくだろう町 武蔵小杉。そんな町の中であっても、変わることのない想いや味に触れることが出来た。
銭湯からの酒場を巡ることで、町への解像度が増し、町へのイメージも変わっていく。
そんな銭湯はしご酒の魅力を来る2023年は、より多く発信するコトが出来ればと考えている。