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【Afterコロナ|インバウンド旅行者の動向】世界5ヵ国へインタビュー調査した、話

おはようございます。せんとです。

伊勢神宮のお膝元、三重県鳥羽市で旅館「扇芳閣」を営んでいる5代目の旅館経営者です。コロナウイルスから回復し、「世界中の人々が、自分が行きたいところに行ける、そんな当たり前が少しづつでも戻ってほしい」と願うばかりです。

「どのタイミングで海外からの観光客が動き出してくるのか?」
「どうやって旅行先を選ぶのか?」

の2点についてMBA留学時代に出会った、世界5ヵ国出身の友人にインタビュー調査をしてみました。(記事:7分程度)

時間がない方は、下までスクロールしていただき
「最後の結論|ざっくりインサイト」だけご覧ください!笑

見通しが立たない国際旅行

国境を超える人の移動が日常になった今日において、初めての世界的なウイルスパンデミック。誰も明確な収束時期を予言できるわけではありません。

インバウンド旅行客の再開は
「半年後には?」
「いや、1年後程度?」
「いやいや18ヶ月後でも、難しい....?」

などと専門家の皆さんでも意見が分かれていて、旅館を営む自分としては「で、いつからなのかな...?」という感じで悶々としていました。今回は、そんな自分の悶々とした気持ちを少し整理するつもりでも、定性的な調査を実験的にしてみました。

インタビューの背景

今回は、非常にカジュアルな方法でインタビューしました。カジュアルさが伝わるように、どれぐらいラフにメッセージしたのか、下に記載しておきます。笑

親友のAbhiにメッセージ
6時間の時差も関係なくいつでも繋がる友人

インタビューした対象

以下の5カ国出身の友人に対して「コロナ後の海外旅行はどうなると思う」というテーマで実施しました。全員10年以上の就業経験がありプロフェッショナルとして日々情報収集している人々なので、信頼がおけるサンプル?です。簡単なプロフィールを掲載しておきます。

【人物】ベトナム人:PH(ピーエイチ)|
【説明】優しい笑顔とスマートな頭脳を兼ね備えた公認会計士。

【人物】台湾人:Amy(エイミー)|Linkedin
【説明】キュートでお茶目なところから愛されるオンラインマーケター

【人物】インド人:Abhi(アビー)Linkedin
【説明】口癖は「そうですか?」日本語も話せるコンサルタント

【人物】イタリア人:Tanya(ターニャ)|
【説明】パスタ作らせたら右に出るものはいないチャオ〜なコンサルタント

【人物】アメリカ人:Ryan(ライアン)|
【説明】三度の飯よりビール好きなロックなエンジニア

インタビューした質問(3つ)

Q.1|When do you possible or want to start long distance flight travel?
訳)海外旅行(長いフライトを伴う旅行)はいつからだったら始められる?
Q.2|What's your concern or requirement to decide destination?
訳)旅行の目的地を決める上で「関心事」や「条件」はどんなものがある?
Q.3|Where is your first destination come up in your mind, and why?
訳)世界の観光地でどこに行きたい?どうして?

以下は、各インタビューした人が話してくれた内容を日本語で記載しています。質問内容に止まらず、幅広く各国の観光事情について答えてくれました。

ケース1|ベトナム

ベトナムでは政府の「国内旅行キャンペーン」や「大型ディスカウント」が協力に勧められている。旅行者が減った分を国内の旅行者に振り替えている

ベトナム国内のリゾート地は海外の人向けの値段設定。その為、ベトナム人が日常使いするには向かない。よって、前代未聞の大型のプロモーションを実施。国内リゾートからプロモーションのメールなんて届くことなかったが、毎日メールボックスに2~3通入っている。ターゲットを海外から国内に変更して取り込んでいる

海外旅行は、2021年の春ごろからスタートする感覚が
ベトナム国内では強い。現状はコロナウイルスの第2波を警戒している
海外旅行の予定は今は全く立てていない

旅先の選択基準としては「その国でしか味わえないものがあるか否か」の嗜好性がかなり上がる。例えば、ウィード(マリファナ)はアムステルダムでしか吸えないので、アムステルダムを目的地にしよう、など。

ベトナム人は、比較的にリスク回避の傾向が高いので、
再開するタイミングに関しては、他の国と比べて遅い見通し

ケース2|台湾

台湾国内の状況は非常に落ち着いていて、日常が戻りつつある
ケースは殆ど確認されていないので、感染拡大の心配はない

台湾人は海外旅行が大好きな人が多い。世代的にも若い世代で台北(首都)で働いている人は旅行への好奇心がとても強い。収入に余裕があれば、安全性や衛生状態がコントロールされている国に行きたいと思うはず。

2020年の冬(12月)にも海外旅行を再開する人は多い
安全性はもちろん、ディスカウントや旅行のPKG(予約のし易さ)
が目的地を選ぶ上では差別化の要件になると思う

コロナウイルスによって、移動規制や交通機関の規制が発生。アクセシビリティなどの交通手段が確保されているのかが大切に。長距離バスや電車は感染の可能性が高いので乗ることを躊躇する。バイクや徒歩圏内で楽しめるようなコンパクトな観光地が理想的。

日本に関しては、確認されたケース数も安定している
交通手段が東京・大阪は発達しているので、行きたい国のリストに入るはず

ケース3|インド

インド国内では、海外旅行はお金がある高齢者向け
需要が戻るのはまだ先、高齢者世帯は基本的にリスク回避傾向
ワクチンが完成の有無が大切な見極め要素に
2021年の夏頃までは海外旅行には行かない

若い世帯や大部分を占める貧困層は海外旅行に行く人は少ない。若い世代で予算がある人は、来年の春ごろに旅行を再開するという時間軸で動いている。目的地としては、東アジア、日本、韓国、台湾などのアジア近郊の国で、安全性が確保されていそうな国から海外旅行には行く。

イタリア 、スペイン、フランスは、インド人の夢の観光地だった
しかし、ヨーロッパからアジアへのシフトチェンジを話している友人が多い

コロナウイルス以外にも、アメリカではジョージ・フロイドさん死亡事件などあり、同じ有色人種である私は、アメリカに行くことは憚られる。総合的に考えてアジア近郊の目的地に行くことが妥当に

ケース4|イタリア 

イタリア人は、今もっとも第2波(9月ごろ)を警戒している
その為、2020年の10月までは、海外旅行どころか
国内旅行にもかなり二の足を踏んでいる印象

イタリア人の友人と話をするときは「まずは国内旅行からだね」という話に。しかし、私はそんなイタリア人の言葉を信じることはない。イタリア人を信じちゃいけない。笑 イタリア人はとてもオープンで好奇心が強く、楽観的な人たちが多い。だからこそ、今日不安と思っていても明日には、そんなこと忘れてしまうような人たちばかり(私も含めて)。

イタリア人は、コロナウイルスで他の国の旅行者が減って、飛行機が安くなったのを見れば、間違いなくクレジットカードを切る。いい体験のコマーシャルを見れば、すぐにインスタグラムで、その街を検索すると思うよ。

ケース5|アメリカ

その観光地がどれだけ「ヤバいか」を確認する(ケース数)
その国の人々がどんな風に行動しているかがも気になる
安全を守るために、きちんとウイルスをコントロールする意識があるか
海外旅行客に差別的な考え方を持っていないかも気になる

国内旅行は2020年のの夏から再開したい。近い州や近郊であれば車で行ける。2021年の冬/春から海外旅行などにも行きたい。選択肢として、寒い国(日本やアジア、北欧)は選択肢にない。コロナウイルスの不安があるので、可能な限り温かい街や、温暖なリゾートに行く。寒いところは避けたいというのが、アメリカ人の感覚なんじゃないかな。

国内への旅行に行くという嗜好性が高まる。海外に行く人はアメリカ人は今までも多く無かった。大体のものは、アメリカ国内にあるから。暑いところなら、フロリダだし。別にモルディブまで行く必要はない。

結論|ざっくりインサイト

以下で、インタビューの中で気になったポイントを以下6点挙げたいと思います。

①その国でしか味わえないこと(オリジナリティ)の明確化が必要

旅行そのものが貴重になり海外旅行へのハードルが上がる中で、遠くにわざわざ行く理由を明確にし、そこでしか得られない「体験」や「意味」を訴求することが求められるようになる。

②国境のオープンだけではなく、都市内での交通手段の確保

旅行者は、空港に滞在しているわけではなく観光地を周遊します。その為にバスや電車の安全性の確保、もしくは、それらにに変わる交通手段が提示されることが大切になってくる。

③ヨーロッパからアジアへのトレンドシフト

コロナウイルスによって、少なくとも危険性はヨーロッパ>アジアという不等式が成り立っている。絶対ではないが、いくつかの国では、観光客のトレンドがアジアに寄ることも予想するに難くない。

④リスク回避特性によって動き方には大きな幅がある

国籍や世代、家族構成によってリスク回避の強弱は異なる。よって、需要回復には大きなグラデーション(がある。一概に一つの数字にこだわるのではなく、ある程度の期間を見越して、順次回復する見通しが必要。

⑤温暖な地域などは今後のプラス要因になることも

スキーや雪見客がマジョリティーを占める観光地は、より先進的なウイルス対策が必要。反対に、ビーチリゾートなどは、中期的には追い風になることもありえる。積極的なプロモーションなども効果的かと。

⑥コロナだけではない総合的な変化

コロナウイルスは大きなゲームチェンジャーであるが、人種差別問題など、コロナウイルス以外にも旅行トレンドに影響与えるものはある。囚われすぎず、総合的な視座で戦略を考えていく必要がある。

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以上、各国へのインタビュー調査でした。このリサーチは非常に定性的であり、専門家の方からすれば、リサーチする上での必要事項を満たしていないかもしれません。

しかし、このようなリアルな旅行者や現地在住者の声を聞くことで、よりお客様のイメージが湧くことは多いです。

観光とは、「インバウンド旅行者」を歓迎する仕事ではなく「私と同じ人」を歓迎する仕事です。

ぜひ、旅行者と観光事業者の距離が離れてしまった時だからこそ、観光客や旅行者のことを第一に考えてサービスや戦略を考えることが大事だと思います。

何か、本リサーチで気になるポイントや質問などがあれば気軽にコメントください。ご笑覧ありがとうございました。

伊勢湾を見下ろす高台にある旅館「扇芳閣」

「鳥羽」は古くから、伊勢神宮のお膝元として栄た観光地であり三島由紀夫が「潮騒」などを書いたように、多くの文豪から愛された文化の町です。

扇芳閣も昭和の文豪、山本周五郎の「扇野」の舞台となった場所に館を構えております。伊勢湾と自然の風景、そして豊富な海の幸、和の風情たっぷりの温泉、露天風呂をお楽しみいただけます。ご予約は公式Webサイト:旅館「扇芳閣」から。

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