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"役割"ではなく"目的"にコミット|女川町で感じた「圧倒的当事者力」

おはようございます。せんとです。今日は、タイトルであるように「役割」ではなく「目的」にコミットすることの大切さについて、宮城県女川町で学んだことを振り返り、書きたいと思います。

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女川町での高校生向けサマースクール事業

2012年から2014年の大学在学中に、南三陸や石巻などで復興支援のボランティア活動に携わっており、木曜日の夜に夜行バスに乗り、週末は東北で活動、日曜日の夜行バスで帰京し、新宿バスタから月曜日の1限に直接出席する。そんな生活をしている時期もありました。

そんな中、2015年に「HLABのサマースクールを東北でやろう!」という声が上がり、複数の候補地があった中で、宮城県女川町で「8泊9日・参加者100名のサマースクール」を実施しました。

"HLABとは"
HLABは寮生活とリベラル・アーツ教育を通じて人々が常に
身近なロールモデルから刺激を受ける革新的な学びの体験や空間
そして持続的なコミュニティをデザインする会社です。
HLAB note プロフィールより引用(2020_0814)

しかしながら、大規模なサマースクールを実施する上では、資金調達から現地調整まで様々なチャレンジがあり、大学生だけでできるのだろうか?という不安で一杯でした。もちろん、学生たちの力だけで実現できるものではなく、大勢の社会人の皆様の力をお借りして、事業を形にしていきました。

その当時、めちゃくちゃ助けていただいたのが、女川町を拠点にしつつ、Venture for Japanで日本の新卒採用に風穴を開けるべく奮闘されている小松洋介さんと、明治大学の先輩でもある須田女川町長でした。

当事者よりも強い、圧倒的な当事者意識!

小松さんや須田町長に相談して「No」と言われたことはない気がします。難しいお願いであっても「No」ではなく「どうすればできるか」を一緒に考えてくれ、「私(当事者)よりも強い当事者意識」を持って「こんなことしたら面白いんじゃない?」という提案を何度もしてくださいました。

「親身になる」という言葉は「親の身になる」と書きますが、その漢字が表すように、僕たちの「親」になったような姿勢で「本当に何がいいのか」を同じ目線に立って考えてくれました。あの「圧倒的な当事者意識」を目の当たりにした時に「この街(女川)でサマースクールができてよかったな」と何度も感じました。

谷口君にも、いい経験になるかもね

思い出に残っているのは、サマースクールを開催するにあたりまず最初に挨拶に訪れた際でした。女川にあるトレーラーハウス型宿泊施設「エルファロ」の受付で打ち合わせをした際に、宿泊施設運営の手の内を隠すことなく話してくださいました。

僕が三重県で旅館を運営していることを知っていた小松さんは「いいよ、いいよ、知っておけばいい経験になるかもしれないし、僕たちも知らないことがあるからアドバイス頂戴よ」と気さくに内部向けの打ち合わせに混ぜてくれました。価格設定や人数配置の理由、人手がかかるポイントなど、幅広く手の内を教えてくださいました。

旅館の倅とはいえ、宿泊業のかけらも理解していなかった自分にとっては、とても貴重な経験であり、その後のキャリア選択の場面でも本当に生きる経験になりました。

損得だけを考えれば、既存の料金やオペレーションを押し通し、都合の良い仕様書を作ることができたのにもかかわらず、きちんと利用者の目線に立ってサポートしてくださる姿勢や、議論のプロセスすらも透明性を持って公開してくださる姿勢に率直に驚きました。

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"役割"ではなく、"目的"に寄り添うスタンス

小松さんや須田町長が持っていた姿勢を少し噛み砕き、言語化すると「役割を担うのではなく、目的の達成を楽しむ才能」を彼らは持っていたような気がします。

決められた役割/担当をこなすことだけではなく「プロジェクトの目的/ゴールを見据え、役割に囚われず、フレキシブルに動ける方々だった」と振り返ると感じます。素晴らしい方々にサポートいただきながら僕は活動できていたわけですね。

自動車の生産ラインのように、あまり不確実性がなく物事を進めていく仕事であれば、決められた役割を確実にこなすことの価値がとても大きいかもしれません。しかし、多様な人が介在したり、予測できないことが起こる場では、役割に囚われず、目的の達成にコミットしてフレキシブルに動いてくれる人がいるチームは、とても強いのではないのかと思います。

役割ではなく、目的の達成にコミットする。そんな能力の大切さを身を持って教えていただいた経験だった気がします。

あと後知りましたが、「圧倒的当事者意識」というのは、小松さんが卒業されたリクルートのスタンス(Value的な?)の一つでもあり、やはりリクルートの人材力凄し...と感じました。

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通訳者|「Translator」と「Interpreter」

僕自身、スポーツ通訳として、米国やニュージーランドのソフトボール代表チームをサポートしてきました。その中で感じることは「通訳の仕事は、ただ"訳す"ことではなく、チームを"勝たせる"ことだ」ということです。

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ソフトボール世界選手権の際のニュージーランド代表通訳としての1枚

"通訳"という日本語を表す英単語には"Translator"と"Interpreter"の2つがあります。Translatorの語源はtrans(超える)とlatus(運ばれる)に由来し、Interpreterの語源は→inter(間で)、pretium(価値)をper(売る)に由来します。

この由来を見た時に、僕個人としては「Interpreter(間に入ってその価値を売る)の方が、スポーツ現場で求められる通訳には沿っているのかな、と思います。フィールドの中でも外でも戦いがあるスポーツにおいては、常にチームの勝利という「価値」を売り込める人が求められていると思いました。

スポーツ通訳は日々、毎日が「戦場」です。アウェイの時の厳しさや、激しい攻防の中で微妙な判定など、様々なことを橋渡しする役割があります。また、フィールド内でも、例えば、宿泊施設にジムがあるかどうか、トリートメント用のお部屋を確保できるか、など様々な情報を監督・コーチ・マネージャーから聞き出し、それを(無償/予算内で)実現させる役割を担います。

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大学時代の恩師、Coach Tarrは全米チームのコーチになり日本に来る際は
通訳として招聘してくれる(オリンピックどうなるかな...)

日本語で言われたことを通訳しているだけでは、全て相手側のチームや運営側の言いなりになってしまいます。そうではなく、チームを勝たせるためには、自分がどのような役割を担うべきなのかを考えることが大切なのだと通訳の仕事を重ねる中で感じます。

"Interpreter"は「チームを勝たせることが仕事」

「ただ言われたことを訳していればいい」というわけではなく「チームにとって望しい結果を手に入れること」が通訳することの目的になります。つまり、大切なことは「チームの勝利に貢献すること」です。

スポーツ通訳という仕事をする中で「通訳という役割に止まらず、如何にチームの勝利に貢献できるか」を考え続けている気がします。それ故に、時にはドライバーになり、時にはボディーガードになり、時には、アシスタントコーチになったりします。目的を理解し、目的にコミットし、役割を柔軟に変えられる人材になること、それが大切な仕事場も多いのではないかと思います。

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以上、「役割ではなく目的に寄り添う圧倒的当事者意識」という、女川で学んだことで、旅館や通訳の仕事をする上でぼくが大切にしている一つの価値観でした。

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伊勢湾を見下ろす高台にある旅館「扇芳閣」

「鳥羽」は古くから、伊勢神宮のお膝元として栄た観光地であり三島由紀夫が「潮騒」などを書いたように、多くの文豪から愛された文化の町です。
扇芳閣も昭和の文豪、山本周五郎の「扇野」の舞台となった場所に館を構えております。伊勢湾と自然の風景、そして豊富な海の幸、和の風情たっぷりの温泉、露天風呂をお楽しみいただけます。ご予約は公式Webサイト:旅館「扇芳閣」から。


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