【杉咲花主演】市子【Amazonプライム・ビデオ】レビュー
私が邦画を見るなんてかなり珍しい
昨年映画を観に行っていた際、結構な頻度で宣伝されていた作品。正直その時は気にも留めていませんでした。
何せアニメまっしぐらおじさんですからね。
ただ春シーズンに見たアンメットというドラマが脳裏に焼き付いて離れないんですよ。
このnoteでも何回か取り上げたことがあると思います。こちらの作品で主演を務めていた杉咲花さんと若葉竜也さんの共演が見られるという事で、たまには邦画を見てみようじゃないかと、そう思った次第です。
一人の女性(女の子)に振り回されていく登場人物たち
物語の導入は、杉咲花さん演じる市子が、プロポーズをした長谷川(若葉)と共に暮らすアパートから忽然と姿を消すところから始まります。
長谷川はあまりに突然の出来事に警察への連絡もせず「いつか帰ってくるだろう」と思っていました。しかし彼女が帰ってくることはありませんでした。
改めて警察へ捜索願いを出したところ、『市子』という人物は、過去から現在に至るまで日本国内に存在しない事が判明します。
長谷川は最初は警察の力を借りながら市子の捜索に奔走しますが、どうやら警察が別件で市子を名乗る人物を追っている事に感づきます。
ここから警察とは行動を別にし、過去に市子と繋がりのあった人物を次々と尋ねていきます。
この各人物と市子との思い出を通じて、我々視聴者は市子がどうやって生きてきたのかを知る事となります。
この表現が上手い。過去の切り取り方が小・中・高、社会人時代といくつもあるのですが、少しずつ少しずつ、市子という人間がどういう人間なのかが見えてきます。
どうやら良い環境にはいないな・・・とは序盤から感じさせられますが、中盤~終盤にかけては、本当に想像を絶するやり方で市子は市子の人生を生き抜いていきます。
それがたとえ他者に危害を加えることになろうとも、彼女は市子として生きる為なら手段を厭いません。
ツッコミどころはある
正直ツッコミどころは結構あります。ネタバレにならない程度に書いているので詳細は伏せますが、市子の家庭環境については行政が立ち入るレベルの案件です。
単なる貧乏家庭では済まされないレベルで不幸を背負っています。
このような状況を行政が見過ごすとは到底思えません。日本という国家は何だかんだ行政福祉が充実している国です。
これが実は日本じゃない架空の国のお話だとするならば別に良いんですが、流石にリアリティは薄かったですね。
でも確かにもしかしたらこれに近い家庭環境はあるのだろうなあ・・・とは考えさせられました。
その上で、杉咲花の怪演
私はおちょやんを見るまで、杉咲花さんという俳優さんは「可愛らしい女の子」の域を出ない役者さんだなと思っていました。
しかしおちょやんで主演を務めてから、お!この役者さんええやん!となり、アンメットで完全に心を盗まれました。
私の中では今や清原果耶さんと杉咲花さんで二大巨頭を形成しているカタチです。
秋ドラマで二人とも何かしらドラマに出るハズ、要チェックや!
でですよ。この人泣いたり怒ったり、感情の起伏があるシーンのお芝居が本当に自然で、見てて恐ろしくなるんです。
一番好きだったのは突然雨が降ってきたシーン。全部流れてしまえ~と言いながら、笑っているような泣いているような。何とも不思議な表情をしながら雨を浴びるシーンがあったんですけど、凄く良かったです。(雨は不自然にも程があったけど)
面白いとは違う
本作は正直言って手放しに褒められる作品ではありません。面白いとも違います。
でも刺さるものはありました。たまには邦画に手を出してみるのも良いかも。
あと最近の配信系は日本語字幕も付けられるのがとっても高評価ポイント。
劇場版作品って音のボリュームバランスが家の音響では狂いがちなので、聞き取れないところがあってボリューム上げてみたり、そうしたら爆音で叫び声入ってきたり大変なんです。
そうした時に字幕があるととても助かります。聴覚への難の有無に限らず、字幕という文化が当たり前になった時代に感謝したいです。