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立体で日露戦争などの戦闘場面を再現する「組上」「おもちゃ絵」は、歌舞伎部隊の再現が元祖

 上写真は、明治時代のおもちゃ絵で、パーツを切り抜いて日露戦争の一場面を立体的に表現するもの。プラモデルでつくるジオラマの元祖のようなものです。

表題写真の元はこんな感じ(保護のため袋越しで申し訳ない)

 自分も作ってみたくなったので、展示会の際に、これをスキャンして組み立てました。奥の方が上がるように勾配を付ければ、もっといい仕上がりになったかもしれませんね。

中央にロシア兵を踏んづけた騎馬の将校。サーベルに逃げ腰のロシア兵
それなりに表情も凝ってます。破裂の具合も戦場の感じを出しています
弾雨をものともせず突っ込む日本兵の雰囲気

 もともとは、歌舞伎の舞台を再現するように、江戸時代から流行ったということです。こちらは復刻版ですが雰囲気をどうぞ。

仕上がりのイメージ
錦絵の一種とされています。丁寧な仕事です。

 そして日清戦争、日露戦争の際には、いくつもの「組上」が作られています。海戦もあれば陸戦、攻城戦もあります。

旅順港砲撃。大勝利、とはおおげさですが。
部品を丁寧に切り抜いて、先の組みあがり図を参考に作ります
激戦地で有名な南山の出来上がり図。ほとんど空想ですね。
間違えて部品を切らないよう、根気が必要です

 こうした一枚の刷り物で完成するもののほか、3枚組の大型のものもありました。こちら、長野県松本市出身、福島安正のシベリア単騎横断を描いたものですが、襲撃され熊も出てと、にぎやかです。

出来上がり図。台座のサイズを指定してあります
絵は非常に丁寧。立体感を出す工夫もあり、組み上げたいものです。

 おまけとして、下写真は、人形を組み立てるおもちゃ絵です。一貫してみてくると、やはり錦絵の版木の技法を活用していると実感できます。こうしたおもちゃは切って作って遊んでごみになって捨てられるので、なかなか残っていません。一つの戦時下の文化として、これもまた記録に値すると、勝手に考えて集めてみました。

錦絵の雰囲気がどことなくただよっています

 そして時代が下って来ると、木工などによるおもちゃに移っていくのでしょう。そのころは正統派の歌舞伎物が復活して、おもちゃ絵の最後の輝きを放っていたかもしれません。



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