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松屋の通販カタログ「松屋グラフ」の1933年5月号は平和なゆかたの特集と思ったら、やっぱり…
久しぶりに、松屋の通販カタログ「松屋グラフ」を入手しました。こうしたものはこまめにためていくと、経年を追って変化も感じられる、意外と貴重なものです。今回は1933(昭和8)年5月5日発行の「ゆかた号」でした。
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1933年といえば、満州を調査したリットン調査団の報告書が公開され、満州を自治州として中国に主権をもたせつつ、日本の便宜を最大限に図ろうという、帝国主義的妥協の結論だったものの、既に満州国建国、日満議定書を締結していた日本は反発。国際連盟を3月に脱退通告したところでした。満州事変は熱河作戦で中国北部侵略の足掛かりを作り、5月末に停戦協定を結んで広大な非武装地帯を作らせ、そこに日本の傀儡組織を結成させるという工作を行って中国との緊張、世界との緊張がどんどん高まっていた時代です。
ただ、そんな戦争も国際情勢もとりあえず松屋のカタログを必要とするような上流家庭には関係ないといったところでしょう。関心持ったところで、臣民はほとんど見ているだけ、操作されるだけという常置でしたしね。
当時、ゆかたなどは既製品よりは布地の紹介が主となっています。自分で仕立てるか誰かに仕立てさせるかしたのでしょう。通販カタログでも、仕立て注文を請け負っていました。
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そんな中で、蚊帳や子供の寝台なんかも。ミッキーマウスを堂々と使っています。著作権の概念とか、緩かったのでしょう。また、世界から嫌われつつはあったけれども、貿易関係などはまだ平常で、英米との敵対ということを露骨にしていなかったご時世もあるでしょう。
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まあ、満州事変といっても、もう大きな戦闘は峠を越していますし、軍国ネタはないだろうと思って居ました。平穏が一番、と子供のゆかたも見てみましたら…
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「空中艦隊」と題して飛行船や飛行機を配置した軍事柄がありました。玉乗りなどの柄物と同じように、軍事柄が当たり前のように並んでいます。戦争があろうとなかろうと、軍事ネタは定番商品だったと、こうしたカタログからもうかがえます。深く考えず、売れるから作る、作られているから関心が向く、といったところでしょうか。
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満州事変はこの年の5月末で終了し、しばし大きな戦争のない時期が続きますが、1937年の日中戦争から、敗戦まで延々と戦争の道を歩むことになります。このカタログは、そんな時代を前にした、一時の平穏を示しているようです。
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