
信州戦争資料センターの展示会ポスターや出版物が、長野県内のデザイナーでつくる「長野ADC」で表彰されています!
信州戦争資料センターという名をつくるきっかけになった、10年前、ちょうど戦後70周年にあたった2015年の初めての展示会でした。この時、図録を発行したいと思い、行きつけの画材屋さんに「若手のデザイナーを紹介してほしい」とお願いし、出会ったのが現在の事務局長です。
デザインを引き受けるにあたって、中の人の家を訪ねてくださり、さまざまな戦時下の実物を見せながら3時間近く熱心に話し合い、納得できたと引き受けていただけました。この際、中の人がお願いしたのは表紙を「戦争の本とは見えない戦争の本」という無理難題でしたが、それに見事にこたえていただいたのがこちら「S12ーS20 信州と戦争の時代」です。


この作業から始まり、これまで10年、途中新型コロナの影響で2年間抜けましたが、毎回、展示会のポスターやチラシの作成をお願いしてきました。以来、作業を通じて「こういうことは大切なことだから、ぜひやりましょう」と事務局長を引き受け、表に出ない代表に代わってマスコミ対応などにも応じてもらうなど、本当に感謝です。
ちょうどそのころ、長野県内のデザイナー同士が切磋琢磨する場として、長野ACD(NAGANO ART DIRECTORS CLUB)が発足しました。そして年に一回、長野県内のデザイナーがその年に手掛けた仕事を、外部の審査員が選考する審査会が開かれるように。事務局長も、展示会のポスターはいつも出品してくれており、2019年には「戦争ト玩具展」の3種類のポスターでグランプリ、準グランプリに次ぐ「長野ADC賞」と「審査員特別賞ー池澤樹賞」のダブル受賞に輝きました。


本人の作品説明によると「戦時下における子どもと玩具がテーマの展示内容を分かりやすく訴求するため、インパクトと親しみが同居するデザイン」を目指し、「子どもの遊びさえも戦争一色に染まっていた時代のもの悲しさを、子どもが無邪気に紙いっぱいに描きなぐる様な1色の絵で印象的に浮き立たせたかった」と狙いを語っています。
池澤氏の講評では「しっかりと広告として機能するポスター」「ホワイトスペースをうまく使い、黒いベタ面を印象的にさせた構成が黒いダイヤモンドのように見えました」としておられました。
中の人は、このポスターを見た時、泣きました。いろんなものを描きたかっただろう、当時の子どもたちの思いが飛び込んできたように思えたのです。
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そして昨年、現在の飯田市出身の兵士が帰国直後に描いた戦場の絵を、背景説明を加えて復刻させた「牧内兵長回想録」が「審査員特別賞ー柿木原政広賞」を受賞しました。

事務局長は「戦争体験の資料として、後世に残すことの意義を評価いただけた事がとても嬉しく思いました」とあり、中の人も同じ言葉をかけてもらえたように嬉しかったです。そして復刻という性格上「主役である牧内さんの絵を邪魔しないよう、最低限のデザイン、華美にならない最小限の装丁」で冊子にしたとしています。それだけに、表紙をめくって飛び込んでくる実物の回想録の写真が、一気にあの時代に引き込んでくれるのだと思います。
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事務局長と二人三脚で続けてこられた展示会です。展示内容については二人でネタを出し合い、デザインは全面的におまかせです。今回のポスターも、明るい混乱の中に、そっと不安が忍び込んでくるーそんな雰囲気が気に入っています。ポスター負けしない、展示会にします!
2024年の信州戦争資料センター展示会「戦争だ! 女、子供も! ついでにビールも! 展」、今年は8月13日から18日まで、午前9時半から午後5時(最終日は午後3時)、長野市の長野駅から10分ほどにある「ギャラリー82」で開きます。入場無料です。

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展示会「戦争だ! 女、子供も! ついでにビールも! 展」
2024年6月29日 記
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