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ライオンのおやつ

『ライオンのおやつ』

小川 糸(著)
発行:ポプラ社
四六判 255ページ

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みんなはどんな小説をカートに入れてほしい?

泣ける感動小説
胸キュン恋愛小説
ほのぼの優しい小説
痛快エンタメ小説

アンケートの結果は
第一位ほのぼの優しい小説
次点で泣ける感動小説 でした。

SENSE OF WONDERを好きになってくれる
皆さんらしい結果だなあと思いながら
今回のはこちらの小説を
おススメしたいと思います。

『人生の最後に
 食べたい‘おやつ‘はなんですか?』
この帯の一文から察せられるとおり
余命を告げられたまだ若い主人公の雫が
美しい瀬戸内の海とレモンに囲まれたホスピスで
過ごした日々の物語です。

私にとっては重たいお話でも
悲しいお話でもなく、
どこまでも優しいお話でした。

だって、『生』と『死』は表と裏で
生きている誰しも死は訪れる。
だから、あらがえない死について
深く考えるというよりは
どれだけ生を愉しめるかを
気づかせてくれたような気がします。

この物語で、主人公は楽しいこと
嬉しいこと、美味しいものに出会って
何度もいろんな場面で
「しあわせ~」
とつぶやきます。
これまで、生きていく上で
処世術のようにかぶり続けてきた
「いい子」の仮面をとり
「あるがまま」でいることを
受け入れてからは、
日々のささやかな幸せに
気づくようになるのです。

そして、食べ物を書かせたら
天下一品の小川糸さん。
登場する食べ物が美味しそうなこと!
ずっとニヤニヤしながら
ページをめくっていました。

最後は、煽り文句に違わず
涙が流れたけれど
けして辛くはありませんでした。

死やどうにもならない不幸や
悲しいことに直面した時の
ちょっとした対処法もちりばめられています。

主人公の過ごすホスピスに住まう
シスターの言葉からひとつだけご紹介

「思いっきり不幸を吸い込んで
 吐く息を感謝に変えれば
 あなたの人生はやがて光り輝くことでしょう」

毎日を大切に
あるがままに愉しみましょう。

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