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NEW DAYS ★ プチDAYS★ブルックリン物語

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ブルックリン在住の大江千里が日々の暮らしを綴る6000字前後の読み応えあるエッセイ。「NEW DAYS」も仲間になりました。単行本『ブルックリンでジヤズを耕す 52歳からのひとり…
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#森山良子

プチDAYS 「せつないけれど終わりがある」

ツアーが終わりに近づいてせつなく胸がキュンとするけど、終わりはあるわけで最後まで上り詰めよう。 芦屋へ発つ前に早朝、歯の治療をしたのがずいぶん前のようだが、あれから芦屋へ行きおでんを食べ寝てリハし本番やりイタリアンで乾杯し翌日、東京へ戻った。 ずっと東京の友人に預かってもらっていた”キョンともも”(前の犬)を受け取りに行って来た。この旅の空き日で2人をパウダーにしてぴと一緒にアメリカへ連れて帰る。やはりももはゴールデンだけあって重い。キョンも結構な重さで翌日のMusica

¥150

プチDAYS 「LIBの歌詞にある世界観」

みなさんは「LIB」はもう聞いてくれましたか? LIB=Life Is Beautiful 今回のこの先行シングル、apple, amazon, you tube, などのデジタル配信サイトですでに1曲販売しています。spotifyでも聴けます。ぜひSNSに何かpostする時のbacking musicに選んでくださいね。 この週末も「Beautiful」で参りましょう! Life Is Beautiful/ Ryoko Moriyama #RYOKOMORIYAM

新新 *SenriとRyokoのおしゃべり泥棒* 6

撮影のあった翌日も、いつもの午後1時前になるとスタジオのベルを押して古いビルの中の迷路を行く。そしてAndyがスタジオのドアを開けて待っててくれる。今日もレコーディングの始まりだ。 僕が最近家で飲んでるブルックリンで一番安く手に入るコーヒーとおそろ、安くて尚且つおいしいエクアドルのコーヒーを、ノーランが手際良く淹れる。僕らはBスタジオ。この前みんなで賑やかにリズムを録ったAスタジオにはジャズビッグバンドのレコーディングがこの日入ってて、人懐っこいジャズメンたちが「よ!」と声

¥200

新新 *SenriとRyokoのおしゃべり泥棒* 2

リズムの日は9曲録音する。アルバムの曲数が9曲、厳密にいうと8曲+ボーナス曲が1曲、合わせて9曲。 録音中何が起こるかはわからない。なので油断や楽観は禁物だ。10時間で一応スタジオをLock outという形で押さえてあるが、11時にはカウントオフして1曲目の演奏を開始する。僕がproduceするプロジェクトは11時と言ったら集合11時ではなくて本番の録音スタート11時だとみんな認識しているので、それぞれがその瞬間に向かって仕上げてくる。 映像チームのSamとStephan

¥200

新新 *SenriとRyokoのおしゃべり泥棒* 4

雨女の異名をとるRyokoさんがブルックリンにやってきて居を構えてからのニューヨークは、コロコロ天気が変化する。にわか雨、ざーーと雷雨、カラッと雨が上がった後には、今度は虹が見える。 レコーディングのちょうど真ん中あたり、ボーカル録音をやっている過度期に1日外での撮影日を設けてあった。プロデューサーとしてはこれはdistribution labelから預かっている大事な案件の一つである。 still(スチール)カメラウーマンのトレイシーと日夜、 「当日100%雨か。予報

¥200

プチ投稿 「えぶりばでい だんすなう」

最近目から鱗の健康法がある。 それは朝晩のストレッチだ。 なんてことはない。体をほぐして伸ばし20分ぐらいリラックスするのだ。Ryoko さんから「これだけよ、あたしの健康法は。」と教えられ、やってみるとこれがメチャクチャいい。あ、この「メチャクチャ」と言う表現、オヤジ世代が最もよく使う単語らしい。 床に寝っ転がってくるんと足を頭の先へ丸める。久しぶりにやってみると足が床につかない。ぐんぐん腰を押してみるけれどまるで壊れた人形のようにぶらんと宙で固まったまま。「これが老

短期連載 「Senriと良子のおしゃべり泥棒」3

3日目のレッスンはローレン先生が我が家にやってくる。久しぶりの再会にRyokoさんとローレンは抱き合って喜び合う。ぴも尻尾を振って喜んでいるのが見える。 随分、何度も床を拭いたり模様替えをしたりしてぴの残した跡を消して綺麗になった部屋のレイアウトを見ても「わー」としか言わないRyokoさんに、無言の愛を感じながら音楽室へ誘う。 アメリカ流だとペットが亡くなった時は慰めの温かい会話やハグが続く。それぞれの表し方なので、ローレンのそれもRyokoさんのそれも、どちらもありがた

短期連載 「Senriと良子のおしゃべり泥棒」4(最終回)

洪水や強風だからってガッカリせずに、目先を変えて古着や帽子を見ておいてよかった。「あ、これいい!」とRyokoさんがその場で即決されたものは10代から着続けてるって言ってもいいくらい似合ってて、レッスンの気持ちを上げてくれる。側で見てるこっちまでウキウキするのだ。 時間なんて一旦流れ始めたらあっという間にそれこそ土砂降りの雨のようにどんどん濁流になり、溝から川へ、川から湾へ流れていってしまう。ローレンの授業の後の2日間はJunkoレッスン。どんどん覚えてどんどん忘れてまた覚

短期連載「Senriと良子のおしゃべり泥棒」2

大変だ。 ローレンからのメール。 「Hampton Bayへのドライブなんだけど、、、、かなり厳しい状況みたい。もしかしたら朝に連絡取り合ってキャンセル、Alternative (他の案)を考える、ってのも視野に入れましょう!」 ガーン。 せっかく短期のレッスンの今回のステイであの素晴らしいニューヨーク郊外のハンプトンベイへRyokoさんを連れてって差し上げようと思っていたのに。 人間って不思議なもので一つのアイデアに縛られる傾向がある。これ!って決めたらそこに「こ

短期連載「Senriと良子のおしゃべり泥棒」1

Jazzの話をするRyokoさんが晴れやかだ。楽しくてしょうがない顔😃! 昨日日本から森山さんがきた。森山良子さん。ツアーの合間を縫って。 「空港からは1人でタクシーでホテルまで行けるからお迎えは必要なし。」と勇ましい。 僕は基本的に心配性なので「大丈夫かな」と気が気じゃない。でも思ったよりもうんと早く「もう部屋よ。快適。」とくったくないメールが手元で鳴る。早速今回のOverviewを話にプロジェクトのメンバーでありニュースクールの恩師でもあるJunkoさんとホテルへ向

「続・Senriと良子のおしゃべり泥棒」 3

毎日真っ黒に鉛筆で塗りつぶしたスケジュールを涼しい顔でこなすRyokoさんを"鉄人"だと思う。前回は、レッスンの前後の食事を僕から誘うのは極力避けていたのだが、今回は違う。 「ぴちゃんを亡くした今、Senriさんをそっとしておいてあげた方がいいのかな?」 と思ってくださってる事を痛いほど感じるので、もしもRyokoさんさえ嫌じゃなければせっかくのブルックリン滞在、いっぱいローカルボーイ(おっさんだが、汗)が好きな場所をご紹介したい。 「あらん、森山さんやーん、こんなとこ

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「続・Senriと良子のおしゃべり泥棒」1

良子さんがやってくる。 ジャズのアルバム制作、そしてそのリリースに向けて準備を淡々とするRyoko Moriyamaが3回目のNYCへジャズ留学にいらっしゃる。 RyokoもSenriもネズミ年。どっちが上かしたかなんて関係なく、二人の共通点はちょこちょこ歩き回るとこだ。 二人は30年ほど前からの付き合いで、最初の出会いはSenriが代々木上原のスタジオでリハーサルをしていた時に遡る。85年? ある日スタッフから、 「あの森山良子さんがリハstudioに『Say Hi

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プチDAYS 「RYOKO Meets Jazz」

以前から「森山良子さんはジャズを歌われないのか な?」いろんな人に聞いていた。「森山さんが歌う日本語のジャズを聴いてみたい。」と。それに興味を持ったある人が「マネージャーさん知ってるから今度伝えてみるね。」と言ってくれた。でもなかなかそれが現実に伝わっていたのかどうかはわからない。僕がオリジナルを良子さんに書きたいと言ってもそんなに簡単にその夢が叶うほど簡単な世界ではないのはわかっていた。だけども言い続けることが僕自身のモチベーションにもなった。だから「もし歌われるなら?」そ

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プチDAYS 「縁結びの神様! ありがとう」

「4年ぶりですか? アリとマットとやったブルーノートでお会いして以来ですよね?」 「そうかもしれない。あのときチケット買ってくれて楽屋に顔だしてくれたんだったよね」 懐かしい友、常(つね)と酌み交わし互いに頷きあった。 N Yへ帰る最終日の仕事が終わるのが4時半。夜はパッキングがあるので一応空けておいたのだが、ふと、もしかして常が空いてたらほんの少しでも会えるかなと思い勇気を出してメッセンジャーしたのだった。 仕事の話、奥さんの健康の話など聞きたいことは山ほどあって、

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