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NEW DAYS ★ プチDAYS★ブルックリン物語

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ブルックリン在住の大江千里が日々の暮らしを綴る6000字前後の読み応えあるエッセイ。「NEW DAYS」も仲間になりました。単行本『ブルックリンでジヤズを耕す 52歳からのひとり…
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2023年6月の記事一覧

プチDAYS「地球は回る」

、、、気がつくと夜中の1時半だった。 ぴに晩御飯あげたっけ? 毎日つけている日誌にマルはない。記憶を辿るが思い出せない。ぴは虚無僧のように体を丸めて眠っている。キッチンで用意を始めるとピクッと顔を持ち上げた。 Birdlandの二日前施術に行った時、Dr.Yanは本気だった。おかげでライブが成功した報告をすると嬉しそうな当のDr.Yanの声がガラガラだ。カナダからの煙にやられて調子が悪いんだそうだ。そんな中での再びの渾身の鍼治療。終わると、僕の心と体は今までのどの治療とも

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プチminutes「ぴはお利口な娘っこ」

全てに理由がある。 朝、最近パパの方が早く起きるので3時すぎくらいから起こさないように気をつけながらデスクワークをしている。程よい距離で爆睡のぴ。 4時頃にぴがゆっくり背伸びをしキッチンへ移動。 1日に合計8回あげる薬。その最初の3つをプチtomatosやプチ全粒粉のパンに仕込んで与える。しかしわきまえたもので「ぺ」と薬だけを出す。狐と狸の化かし合いで出した薬を次のtomatosに隠し大騒ぎで口を蓋して食べさせる。

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プチminutes「バードランドの子守唄」

「バードランドの子守唄」を聴いて眠り続けた。 全部が終わりUberを呼んでマンハッタンを後にしたのはもう12時過ぎだった。ブロードウェイは眠らない。ゴミ収集車の停車中の後ろについて「ちっ」と舌打ちするドライバーに気をやりながら自分も後部座席でうつらうつら船を漕ぎ始める。 気がつくと遠いところにエンパイヤやクライスラーが靄がかって見えた。クイーンズ側に渡ったのだ。数日前からTh City(ニューヨーカーはマンハッタンのことをこう呼ぶ)を覆っている靄は離れるとよく分かる。ここ

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プチDAYS 「歯医者から〜のリハ〜友と」

雷とともに大雨が。 どうもジメジメするなと思っていたら案の定。パタパタものすごい音を立てて窓の外のエアコンの室外機を雨が打ち付ける。 その音を聴きながら、今年初めてぴのためエアコンをつける。もはや我慢の限界の湿度と気温。1年ぶりに作動するエアコンは最初利きが悪い。徐々に働き方を思い出したかのように冷風を出し始めた。傍に置いてある机でSNSの posting (投稿)をやっていると時間の経つのをつい忘れてしまう。ふとぴがおしっこをする音がトイレから聞こえる。夢中で気がつかな

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