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能力主義という‟勘違い”の先にある落とし穴

いつもは介護や認知症について書いていますが、今日は生き方について私の苦い経験を書きたいと思います。

私は一体いつまで走り続けるのだろう?!
と思いません?

最近ね、若い人で知名度を上げている人が、うつっぽいような、深い溝に落ちてしまったような、いわゆる『虚無感』に陥ってしまっている人をちょくちょく見かけます。まぁ物価は上がるし税金は上がるしで稼がないといけない、さらに子育てはあるわ介護はあるわで、めっちゃ忙しいので自ずと能力主義になってしまいますね。

そして情報過多になるにつれ時間経過も加速するため、無我夢中で走り続けてる…的な状態になってきます。ですが宇宙にブラックホールがあるように、その先に危ない落とし穴があるので知っておいた方がいいことがあります。とはいえ絶対にダメなわけではなくて、それも人間的成長として必要な道のりなので、穴に落ちるのは加速的成長を促します。




1.目標設定が人生を変える

私は認知科学をベースにした自己啓発スクールで10年間ファシリテーターをしていました。『フロー状態』も経験して、ことごとく目標を達成した時期もあります。セミナーで400名以上の受講生に無意識プログラムの書き換えワークを行なっていたので、RAS(毛様体賦活系)を活用した‟引き寄せ”の手順もわかっていました。

講師である以上は講生の前を走るべきだと思っていたし、過去の自分とはまったく別の世界を生きているようで目標達成が面白かった。潜在能力を活かせば、無限の可能性があると感じていました。

現代はどうしてもタイムラグがありますが、マトリックスのネオが情報のダウンロードで変化していくのがわかります。今は基本的な情報は本や動画からいくらでも取れるので、マインドセットで脳に勘違いを起こし、それを定着させれば自分というのはどうにでもなります。思考が先、現実は後です。

だから目標設定は絶対的に必要だと思っていました。目標を明確にしなければ流されて翻弄させられてしまう。目標がなければ潜在意識だってどう判断すればいいかわからない。そして達成したときに分泌されるドーパミン+セロトニンが、精神的にも肉体的にも最高に満たされる状態だと思っていました。

まだ自分のやりたいことがわからない、自己表現ができない、自己犠牲的な生き方をしてしまっているなぁと思う人は、まずこの段階に進む必要があります。でもこの状態が‟しあわせ”につながるか…?と言えば、そうではないような気がします。



2.わたし、幸せになれた?

そんな私でしたが、一つだけ、自分自身への問いかけで恐いものがありました。それは『わたし、幸せになれた?』という問いです。その言葉が心の中に浮かぶと黙ってしまう。「幸せになれたよ~」と言い切れない自分自身がいました。

人の欲求には天井がなく、A地点を目標にしても、Aに近づく頃にはB地点を見ています。懸命に山を登って頂上につけばとても素晴らしい景色が目の前に広がっているのですが、実際はその景色を見た瞬間、あっちの山も制覇したいなぁと思っています。

つまり際限のない欲求をどれだけ満たしても、私たちは幸せにはなれないことを感じていました。ですが世の中的には、頑張ること、努力すること、諦めないことが美徳です。なのでつい、急流を逆行して昇っていく鮭のような日々になっていきます。

今なら正直に言えるのですが、そんな自分に気づくたび、本来の自分から離れていくような気がしていました。
あなたはどうですか?



3.能力主義の勘違い

ハーバード大学で40年以上にわたって政治哲学を教えるマイケル・サンデル教授が、3年前に注意喚起なる本を出版しました。
「実力も運のうち/能力主義は正義なのか?」


たとえば徒競走で自分が一番になったとき、「私が勝ったのだから、それは私の能力だ」と多くの人が思います。ですが、スタートの時点でコーチの指導を受けることができた人がいればどうでしょう?たとえばそれが努力によるものだったとしても、練習できる機会や環境、十分な栄養摂取、性能のいい運動靴を手に入れることができるとしたら?

マイケル・サンデル教授は、裕福な家庭は生まれながらに裕福になるレールが引かれている、一方貧しい人にはそのようなメリットが与えられないため、徒競走をスタートする前から不平等が生じていると言います。それに気づかず、勝ったのは自分の脳力だと、そうでない人を見下す世の中になっていると。そしてその原因は、学歴偏重主義にあるという。

この大学を出たから、この学位を取得したから、この資格を持っているから~ということが所得格差となり、富裕層と貧困層の二極化をつくっています。教育機関である大学が格差社会をつくっていること、そしてどんな仕事であっても格差はなく、みな敬意を持たなければならない。それは人生における成功者も同じだと言っています。



4.夢から覚めるときが来る

動画の中でキング牧師が「ゴミを集める清掃員は、医者と同じくらい大切である」と語っています。2040年にかけて、とくに日本は労働人口が減少します。地震でガタガタになった道路を直す土木作業員も、壊れた家財を直す修理屋も、物を届けてくれる配達員も、車検をする整備工も、あらゆる分野で人材が不足すると言われています。

スーパーを経営する人も働く人もいなくなり、遠く離れたところに歩いてお買い物に行くしかなくなっていきます。車検をする整備工もいないし、ガタガタの道を直してくれる人もいないため、歩いて買い物に行くしかない状況になる可能性があります。そして毎日のように来てくれたいたゴミ収集業者も来ない…

となると、みな自分で歩いてゴミ焼却炉までゴミを持っていかなければならないのです。すると私たちは家の修理や買い物や、ゴミの処理等に日々追われ、働く時間が制限されます。つまり貧困層が広がっていきます。その頃になって、ゴミ収集業者の人がどれだけ大切な人だったか思い知るのでしょう。

水に対しても同じことが言えます。蛇口をひねれば水が出るという、発展途上国では夢のような状態が日本にはあります。それを当たり前だと思い、海や山や自然に対する感謝を忘れてしまうと、いつか感謝せざるを得ない状況が訪れるのです。たぶん成功者も同じ、強くなり過ぎた自我は、いつか崩壊せざるを得ない状況になっていくのです。



5.建設的ニヒリズム

『虚無』という状態をご存知でしょうか?『ニヒリズム』とも言います。何かの失敗がきっかけになることもありますが、本質に気づいたときや、夢から目覚めたとき、訳のわからない漠然とした深い溝に陥ったような感覚になることがあります。あらゆることへの意味を見失い、仕事をすることも食べることも、人と会話することも、今ここに自分が存在していることも無意味だと感じて、衝動的に引きこもってしまうことがあります。

私自身も経験があります。それは今まで自分が一つ一つ悩み、考え、判断して行動してきたことが、すべて思い込みだった、何の意味も無かったと気づいたときでした。それまでの42年間がガラガラガラと音を立てて崩れ、もう引きこもるしかなく、それから3週間は毎日瞑想だけを繰り返しました。その後も本質に気づくたびニヒリズムに陥りそうになりますが、今は建設的に自らその状態に入ることもあります。

この状態は、目標達成を‟自分自身の能力だ”と過信することで自我が高まり、男性性が強くなりすぎている状態です。このまま進んでいくと犯罪につながることもあります。女性性とのバランスを失って危険な状態に近づいているため、無意識がそうさせるのです。これは男性においても同じで、男性性と女性性のアンバランスが極まると、無意識はあえて自我を崩壊させるような出来事を引き寄せるのです。

そして今、若い人たちの中にそういった状態に陥る人が増えているように思います。仕事も食事も睡眠も対人もままならないことから、重症の鬱病のようになるため危険を伴います。基本的に‟盲目”になっていることが原因であることから、瞑想を繰り返して『自分とは空であること』を知る必要があります。そうして謙虚さと感謝を思い出すのです。ヨーガスートラ八支則の実践が助けになってくれます。



6.未来→現在を逆算しないこと

私たちが生きている物質世界は『本質の一つの例え』にすぎないため、無我夢中になりすぎたり、これが自分の能力だと過信してしまうと問題を引き起こします。自分というは『何者でもない存在』であることと、『何者にでもなれる存在』であることの両方を俯瞰して、バランスをとることが大切なのだろうなぁと今は思います。

目標設定は未来から現在までを『逆算』して、日々のやるすべきことを行動レベルで明確にします。すると何もかもが意図的になって、自分自身をがんじがらめにしていきます。その結果、自我が強まって盲目になり、精神を病んでいきます。なので目標設定はするけど達成は放っておく、『なるようになる』とお任せするのがいいと思います。

ただ、未来を思い描くことは大切ですよね。方向性が定まらなければ無意識は何をどう判断してよいかわからず、シグナルを受け取ることもできないので、『願い』や『祈り』くらいの未来を持つといいですね。行き先のイメージはするけど、そこから現在までさかのぼって逆算しないこと。私もつい10年間のクセがついてしまっているので気をつけないとです。笑

主語は『私』ではなく『みんな』。
それくらいが日本人の精神性に合っているんじゃないでしょうか。

今ちょうど決算期で、理事会までに次期の事業計画や収支計画を作らねばならないときです。そろそろ会社も在り方を変えていくときじゃないかな~と思うので、計画書をやめたいと思っています。その時その時の感覚に従って行動することが本当は大切だとみんなわかっているのに、なぜか理事会や総会では許されないんですね。どうやってやり過ごそうなかぁ(笑)

『物質界を生きる自分』と『本質に存在する自分』のバランスをとっていきたいですね。



お知らせ(今週末)

|★||11月2~4日(土日月)イオンモール熱田(名古屋)
MySCUEにて「心の介護相談」ブースを出展します。

土曜日は雨模様ですが、日曜・月曜にお時間ある人は近くの熱田神宮にお参りがてら、お立ち寄りください^^
担当:せのようこ、福井三賀子、山川さちえ、郷堀有里夏、大竹加代子


|★||イオンモール品川シーサイド店
健康家族&シニアケアMySCUEにて
9月は「親にイライラしない介護コミュニケーション」
10月は「あれ?認知症?と思ったときの5つのケア」
セミナー&相談会を行いました。

|★||11月17日(日)は「更年期のこころと体の変化」
セミナー&相談会を3回行います
10時~ 13時~ 15時~ ご自由に参加できます
担当:福井三賀子

|★||12月15日(日)は「親の看取りの心構え」
セミナー&相談会を行います
10時~ 13時~ 15時~ ご自由に参加できます
担当:せのようこ

イオンモール品川店のセミナーは予約もできます
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VRによる認知症体験や脳年齢の測定もできます。
最新の健康グッズや介護ケア用品をたくさん展示しています。
ご来店お待ちしていますヽ(^。^)ノ


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