(詩)からす
羽が1枚おちてきた
それは黒色といえるだろうか
夕陽に照らされ舞っていたそれは
この世のすべてを知っていた
そんな気がした
砂場に落ちた羽はすぐさま
砂塵にまみれて淡く濁る
それでも光るそれを拾う
この世の重さを知っていた
夕陽にかざすと陽は静かに
風は優しく慈しむように
羽と砂とを魅せていた
全てを見てきたものは
枯れたのではなく枯らしていた
みずからを だから
美しかった
その1枚をこの先一生
忘れることはできないだろう
届くことのない距離で、烏の鳴き声が聞こえた
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