シェア
無重力の彼方から やってきたのは明の風 僕の知らない世界を旅した 君の話を聞かせておくれ…
夜を泳いで 幻想の快楽に耽る 夢幻の輝きに息をのみ 後ろに迫る悔恨の 荒波に気づくことも…
白銀世界に染まった彼女へ 颯が過ぎて御髪は乱れ 顔に憂色をたたえた彼女に 私は無闇に傷つ…
宿雨の夜は 冬の水面に ラヴェルのごとき音符を映し 聞こえる音色は とうとうと 駆け巡る…
雪のにおいがして 見上げると秋の空 白き枯葉がひらひらと舞い 遠くで犬が吠えていた 肌を…
視えない雪が降っていて 消しゴムが涙を流していた 悴んだ手を そっとポケットで温めて あ…
乾風がふもとから 左耳から 鼻から 喉へ 吹き荒ぶ 元より風と共に去る 僕の声はもう 届きそうもない 枯葉が舞い 居眠りの虫たちが 寒さに凍えて 目を覚まして 早めの始めを 訝りながら ぞろぞろと慈しむ 声が無くても 心があった 乾風が尾の上から 右耳から 口から 肺へ 吹き捲る 元より風と共にある 僕の心は 発動していた 一緒に内緒話でもしようか 心から風を込めて
影が冴えて あなたがはっきりと見えた 陽の光が強くなったのだなぁと しみじみと思いながら…
ジレンマの夜更けは過ぎて 月は微睡み 陽は大あくび 誰も彼もが目をこすりながら ジレンマ…
僕の脳内には 萎びた草花が広がっていて 一つ音をたてれば、カサカサと 崩れる音が 聞こえて…
久しく聞いていなかった 蛙の鳴き声 はらわたにつんざく 泥と砂とれきとが いっしょくた…
渇ききった土地に 脚がもつれる ませた可愛き女児のよう 反発し 高揚させていく 陽は微…
もしもしカメよ 待っておくれよ 歩みがノロいといわれているけど 鼻唄を歌いながら歩く その…
〈Ⅰ〉 こんなもんかと僕は言う 諦めぐせがついている こんなもんはと君は言う 男のくせにと向かっ腹 こんなもんだと他人は言う 長らく遊ばれた積み木のお城が 刹那に天使に壊されていく せっかく積み上げたのに こうも儚いものなのかな 指にからんだあやとりの亀も ほどいてしまえばおしまいだ せっかく作り上げたのに こうも虚しいものなのかな でもその天使の笑顔は 虚無や無常の 正反対の 曇りなき瞳 光そのもの 僕たちは 歳を重ねて 悪魔に近づいている 陰のマントをはためかせ