公務員には未来が描けない
私たちの職業柄、日々多くの方からご相談をいただきます。
ご相談の中でも多くあるのが『公務員として働いていく未来が見えない』です。
日々の業務や相対する大きな仕事へのやりがいは持っている。一方で、本当に自分がやりたいことなのだろうか。他の人ではなく、自分がやっていく必要があるのだろうか。と悶々としている人も増えているという肌感覚を持っています。
なぜ、公務員に未来は描けないのか
一言で言うと「歴史を守り、未来をつくる仕事だから」です。
歴史や過去、これまでのしきたりを守ることが主眼となっており、発想の起点が「未来」ではないことが原因だと考えています。
発想の起点が「過去」なのか「未来」なのか、ここに大きな問題や批判はありません。今、公務員として従事されている人が『自分はどちらの思考や特性がしっくりくるのか』を捉えることができると解決できると考えています。
とはいえ、公務員と言えども、個人で見ると一人の一般人。日本の法律や厚労省、経産省に記載されている「労働者の一人」です。そのため、事業会社で従事する私たちと同様、(当たり前ですが)はたらくことにおける悩みや課題を持っています。
ではなぜ、公務員希望者は減少し続けてきたのでしょうか。(2022年は前年度比増加)
教育・就業・企業の関係性
日本は今まで(とはいえ、20-30年も前の話しだが)、国内産業の成長、年功序列社会でした。この時の、価値観は「自分の生き方や暮らしを学校や社会に委ねる」生き方です。
つまり、『自分が何をしたいか』ではなく、『所属組織が何を求めているか』が重要でした。(伝統・歴史>>可能性)
しかし、グローバル化が進み、日本産業の弱まりによって長期的な雇用の流れが大きく変わりました。転職が至る所で見られるようになり、一つの会社・組織で長期的に就業する働きかたから、転職をしながら短中期的に就業する働きかたに急激に変わっています。(可能性>>伝統・歴史)
昨今、日本の課題と捉えられていることがあります。
それは、「教育と就業と企業」が分断されているということです。より具体的に言うと、教育を司る省庁が文部科学省であること。職業を司るのが厚生労働省であること。企業の仕組み・決まりを司るのが経済産業省であること。これら3つが分断されており、かつ戦後以降、関わり方や仕組みがほとんど変わっていないのです。
3つの分断によって起こること
どうして文部科学省(教育)と厚生労働省(就業)と経済産業省(企業)が分断されていることが課題なのでしょうか。
それはあなたを評価する基準がバラバラだからです。例えば、企業の方向性は「モノづくりに貢献する」にも関わらず、営業部からの指示は「見えない価値を生み出す」。はたまた総務部からの指示は「必要経費を抑える」のお達しが。これらを絶対に守りなさい、と言われたらなかなかに苦慮しますよね(苦笑)
同様のことがこれら3つの省庁の分断によって引き起こされています。
結果的に、可能性(未来)のために動く時間が無くなり、伝統・歴史(過去)を守っていくことに終始しているのです。
ここまでの説明に時間がかかってしまいましたが、これが公務員が未来を描けない理由です。(というよりも、国が未来を描けない理由に近い)
公務員になるべきではないのか?退職して違う道を探すのか?
公務員では未来を描くことができないということは、公務員をおススメしない。今従事している人を否定することになるのではないか。そう捉えられてしまうかもしれません。
そうではありません。
公務員は日本を『守る』エキスパートとして、なくてはならない組織、集団です。
自分自身が『どんな思考を持っているのか?』『なにを大事にしているのか/していきたいのか』を明確にすることで、多くの事が解決できると考えています。
思考特性
人には思考特性があります。これは血液型と同じようなもので、生まれ持った「思考」や「特性」です。(ある思考があるから、もう一方の思考ができない等ではないのでご安心ください。)
その思考特性の中には「過去からの積み上げで頭がスッキリする人」「未来を想像することで頭がスッキリする人」など、様々な特性があります。
公務員として働くかたの多くが「過去からの積み上げ思考特性」であり、それがゆえに日本が日本として成立してきました。一方で、「未来を想像する思考特性」の人からすると、日々頭に浮かんでくるアイデアやイメージ、冒険心を満たすことができず、悶々とした気持ちが溜まっていってしまうこともあります。
(※思考特性ワークショップを定期的に開催していますので、気になる方は是非ご参加ください)
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdHSuht0sgwNuuAS7mkNytuk8y7ZHWFBPdMcCaeUU2YuCGt0Q/viewform
(キャリアツーリズムの予約フォームに飛びます。体験会への申込予約をお願いします。)
公務員の場合、1‐2年に一度人事異動希望を出すことができるため(異動が叶うかは別物ですが)、「イメージや想像、冒険心をくすぐる仕事」を軸に異動することで、悶々とした気持ちが晴れることもあるはずです。
しかし冒頭に述べたように、基本的には「守るための未来計画」であり「攻めるための未来計画」ではないため、可能性よりも伝統や歴史を基軸として意思決定されてしまうことは考慮にいれなければいけません。
上で述べた考え方や働きかたへのアクセントの加え方は公務員以外の方でも応用できるはずです。キャリア関連の仕事に従事している人は「相対する人がどのような思考特性を持っているか」を一緒に探していくことで、その人が「心地良い仕事環境」を見つけることができます。
公務員の方へのおススメ
私個人としては、公務員として仕事に尊敬と畏怖を抱いています。日本になくてはならない仕事であり、日本が日本たるゆえんを守ってくれている役割も担っていると感じています。
しかし、働く人当事者からすると「他の環境はあるのかな?」と思うはずです。
同時に、公務員として従事する期間が長くなれば長くなるほど「外の環境だと通用しない」と思ってしまう傾向が強くなります。
副業ができれば、公務員としての軸足を起きながら、他の可能性を模索することができるため安心して次の扉を開けることができると思うのですが、そうはいかないですよね。
ぜひ、次のことを試して欲しいと思います。
自分の性格特性を楽しみながら知る
好き、嫌い、得意、不得意を書き出し、それらの共通項を探す
SNSを匿名(可能であれば実名)で登録し、外の世界に触れる
オンラインイベントに無料で参加し、心地良い環境や考え方を見つける
です。
もしこの記事に興味を持っていただいておりましたら、せんのみなとが開催する性格特性ワークショップに参加していただいたり、TwitterやLinkedinで繋がってください!
日々の働きかた、考え方にアクセントを加える発信を継続しています。
https://www.linkedin.com/in/masaya-nagamine-sennominato/
公務員として未来は描ける。可能性もたくさんある。
これが私の答えです。今現在、日本一周キャリア相談の旅で多くの人に出会う中で確信に変わった考えです。
未来の描き方や考え方を”まだ”知らないだけです。
最後までお読みくださった方の明日が少しでも楽しく、ワクワクするものでありますよう願っています。