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器と物差し

自宅でお客様やスタッフと打ち合わせすることが増えてきたことも手伝って、
食器棚を整理した。

ふと、気に入っていた作家さんの平皿を探し始めて、割ってしまったことを思い出したり、
もう使わなくなった息子用の小さな食器類をまとめてみたり、
縁がかけている食器が増え始め、そろそろ金継ぎが必要だと感じたり。

昔から和食器は釉薬の艶がどちらかというと苦手で、以前は備前焼を好んで使っていたけれど、
今は食卓に土の温もりをもたらしながら同時に、軽やかさを添えてくれる粉引ものが気に入っている。粉引はあちこちで見かけるので流行りでもある気がするけれど、
個人的には長く使いたい景色。
洋食器はこのところ、ビンテージのフレンチプレートで落ち着いた食事を楽しむ一方で、時にウィリアムモリスで気持ちを華やがせてもらうことも。

こうして食器のことを考えていると、同時にその器に盛る料理や食材のことが頭に浮かぶという、己の食い意地の張り方よ。

今、ついつい考えてしまうのはお正月のこと。
屠蘇器と雑煮椀とオードブルプレートと、それに片口の酒器。

くらしを整理すると仕事も整ってくるらしい。
もちろん、仕事が整理されれば、くらしを整えることができる。

窮屈な、誰かが決めた物差しではなくて、自分らしい整え方を。
それは文章も同じこと。
食器棚を見つめながら、明日の仕事を思う夜。

#今日の (いや、何日か前の)一冊
#魯山人の美食手帖
#北大路魯山人
#平野雅章  編
#270 /365

#器
#粉引
#ビンテージ
#ウィリアムモリス

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センジュ出版 代表 吉満明子
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