本と植物
一つひとつに個性がある。
動かず、じっと黙っているけれど、エネルギーを持っている。
そばにいるだけで、しずかな自分に戻してくれ、呼吸を深くしてくれる。
通常とは異なるスピード(ずっとずっと遅く感じるほどに時間をかけたもの)で読み解かなければ、そこに書かれたもの、そこから拡がっていく世界になかなかたどり着けない。
たしかで、揺るがない存在を感じさせる。
それが、わたしにとっての本と植物の共通点だ。
テレビで見て気になっていたオザキフラワーパークへ。
風こそ強かったものの台風が過ぎた時間帯、店内の人出は多く、皆一心不乱に目当ての存在を探し出していた。
もちろん自分もその一人で、都内最大クラスという圧倒的な品揃えに、ここにずっといられると思ったほど。
日に焼けるのも構わず屋外の苗や鉢植えのコーナーをくまなく歩いた後、観葉植物が並ぶ2階へ。
花器の類は好みのテイストがそれほどなくて残念だったが、
それぞれのフロアで植物に囲まれた自分に湧き上がった感情は、大型書店や図書館に足を踏み入れた時のものに通じている。
それで、本と植物とに自分がどういった共通の視点を持っているのか、改めて考えてみたのが冒頭。
自宅のすべての部屋に植物を改めて設置したのが今年のこと。
浴室以外の部屋にはもとから本が置かれていたので、
今は自宅のどこにいても、「たしかな存在」がすぐそばにある。
そうなって改めて感じるのは、しずかな自分に戻してくれる場所や時間を
物理的な意味であっても精神的な意味にあっても、保有することの意義だ。
本と植物はいつも黙って問いかける。
それは自然なことか。
無理のないことか。
深く呼吸するように、心地いいことか。
たしかで、揺るぎないことか。
よく考えてみれば本のページを作る紙は植物でできているわけだから、
通じるものがあるのも当然のこと。
本と植物から投げかけられる問いを、
この問いを感じている愛すべき友人たちと一緒に、
これからも楽しんでいけたらとそう思う。
#今日の (正確に言うと昨日の)一冊
#植物は 〈未来〉を知っている
#ステファノマンクーゾ
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