安藤忠雄氏講演会「どこにでも可能性はある。一歩踏み込まなければならない」
「一歩踏み込む」というフレーズが、私にとってこれからの人生の指針になるような予感がしました。
12月12日梅田で開催された、世界的建築家 安藤忠雄氏の講演会「いかに仕事をつくるか」の中のお話です。
◆「さすがに、それはむりです」周りの声をよそに、不可能を可能にしてしまう
安藤忠雄氏は、2009年と2014年の二度ガンが見つかり、手術をされました。十二指腸や膵臓など5つの臓器を摘出されたそうです。
やるとなると徹底的にやるところが、安藤さんだなと感じました。
ご自身でやると決めたプロジェクトは、これまでも貫いてこられたのだと思います。
周りみんなに「さすがに、それは無理です」と言われても、そんなことではやめたりしません。
大阪の中之島の国道を歩道にしようと提案したときは、大阪知事も市長も「ムリだと思います」と言われたそうです。でも今は歩道に。
「ムリでしょ」と言われたものを建てたのは、国内だけではなく、ヨーロッパ各国にわたっています。そこには、職人さんたちのチームの存在のおかげだと話されていました。
職人さんたちは「できますよ」と言われるそうです。それで「ムリ」と言われても、プロジェクトを進めることになるのだそう。
「一歩踏み込まなければならない」とは、そういうことなのかと。
一歩踏み出すとは全く違います。ムリと言われる領域に踏み込まなければならないのです。
神戸には安藤さんが手掛けた建築がいくつもあります。私の近所には、傾斜約30度の斜面に安藤さん設計のマンションが建っています。なんと!最初は建築許可がおりなかったとか。でも、確かにそこにあるのです。
ここ数年は、図書館を寄付されている活動がメディアで取り上げられています。関西では中之島と神戸に既にオープンしていて、他の街や海外でも寄付をされています。これは、カーネギーが図書館を幾つも建てたことから、自分でもやろうと考えられたそうです。
その土地や建物を活かす建築でも有名で、
-北海道 水の教会
-遠野 子ども本の森
-大山崎山荘美術館 などでは、
を提供されています。
◆自分の考えを話せない所には行かない
世界の名だたる大学で教鞭をとられ、1997年には東京大学の教授に就任されています。大学から教授のオファーがあったときのウラ話が本当にスゴくて。
ここでは書けませんが、この講演会のタイトルでもある「いかに仕事をつくるか」という点で、安藤さんの信念を感じました。
「自分の考えを話せない所には行かない」
真っ直ぐ前を見てはっきりと、おっしゃっていました。
◆神戸との関わり
兵庫県立美術館は1995年の震災後に、神戸製鋼所跡地に建てられました。震災後の復興事業にも深く関わってこられ、私が住んでいる地域にも、安藤さんが寄付をされた樹木が、道路や大学に何本も育っています。
神戸の復興と深く関わってこられたこともあり、私は2000年前後に、安藤さんの神戸での講演会に何度か足を運びました。そのたびに刺激を受け、勇気をもらい続けています。
◆その場でしか得られないもの
この講演会はオンラインでも参加することができましたが、梅田で開催されたこともあり、会場に行ってきました。ホールは満員で立ち見が出るほど沢山の方が熱心に話しに聞き入っていました。
その場に行かなければ得られないことは何か?と聞かれたら、それは体験だと私は思います。