筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは?初期症状や症状の経過、治療法について解説
先日、「難病ALS新薬早期承認を 署名を厚労相に提出 恩田聖敬会長ら会見」というニュースがありました。
(出典:Yahoo!ニュース『難病ALS新薬早期承認を 署名を厚労相に提出 恩田聖敬会長ら会見』)
内容は、国の難病に指定されている筋萎縮性側索硬化症(ALS)に関して、ALS患者の発起人と日本ALS協会が治療薬「レブリオ」の国内承認を求める署名を厚生労働省に提出したというものです。この「レブリオ」は延命効果が期待できることに加え、既存の薬とも併用できる点で注目されているようです。
今回は、「筋萎縮性側索硬化症(ALS)はどんな病気?」というテーマでご紹介します。ALSについて知っていただければ幸いです。
ALSとは
ALSは難病に指定されている進行性の病気です。
神経の障害で、手足の麻痺などが起こり、やがてのどや舌、呼吸筋の麻痺が起こる病気といわれています。
病気にかかる人は、人口10万人当たり1〜2.5人で、平成26年度の調査では、約9950人がこの病気を患っていると報告しています。
発症時期は40〜70歳代で、性別では女性に比べて男性に約1.3倍多いといわれています。
原因について十分にわかっていませんが、神経の老化などが関係しているともいわれています。
また、ALS 全体の5%は家族内で発症しており、両親のいずれかや兄弟、祖父母に同じ病気を持った人がいる可能性もあるといわれています。
経過と症状
ALSの初期症状は、下記のような日常生活にあらわれてきます。
服のボタン操作など手先の細かい作業がしにくい
何もないところでつまずく
物が重く感じる
しっかり休んでいるはずなのに疲れが取れない
多くは、手や指の使いにくさ、肘から先の筋肉の痩せ、力が弱くなることから始まります。
そのため、整形外科的な疾患などと症状が類似しているため、この頃は正しく診断されるまでに時間がかかってしまう可能性もあります。
その後、次第に足のつっぱり感が出現し、歩きにくさも自覚するようになります。
やがて、のどや舌の筋肉の痩せにより、食べ物の飲み込みづらさや話しにくさが出現します。
最終的には呼吸をする筋肉も含め、全身の筋肉が痩せて力が入らなくなり、体を動かすことが困難となり、呼吸をするにも人工呼吸器が必要となります。
多くの場合は、人口呼吸器を装着しない場合、発症から3〜5年で死亡するといわれています。
治療法
現在のところ、ALSに対する根治療法や特効薬はないため、病気の進行を遅らせる薬物療法やリハビリなどの対症療法を行うのが現状です。
ご本人の残されている機能を維持し、生活の質を保っていくためにリハビリを行います。
症状や状態の進行に合わせて、必要があれば補助具の提案や使用をしていきます。
リハビリでも、過剰な運動は筋力低下を悪化させてしまう恐れがあるため、疲労が残らない範囲で行うことに注意が必要です。
肩や腕、手の筋肉が弱くなってくると腕が上がりにくくなるため、物を高い位置から低い位置へ移動させる工夫や衣服は着やすく、ゆったりとした服に変更するなどの工夫が必要となります。
脚の筋肉が弱くなってくると、歩く時にバランスを崩しやすくなるため、早めに杖を使用して歩くようにしましょう。また屋内のトイレや浴室には手すりを取り付けることも検討するとよいかもしれません。
話しにくさなどコミュニケーションの障害には、新たなコミュニケーションの手段の獲得、飲み込みにくさなど嚥下障害には、とろみのついた飲み込みやすい食事の工夫が必要となります。
呼吸筋が弱くなって、自力では呼吸が困難になってくると、人工呼吸器の導入も検討しましょう。
まとめ
本日は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)について
ALSとは
経過と症状
治療法
について順に解説しました。
ALSとは難病に指定されている原因不明の進行性の病気です。
初期は手足の軽い筋力低下から始まり、のどや舌などの筋肉の痩せにより、食べ物の飲み込みづらさや話しにくさが出現し、やがて呼吸筋の麻痺が起こり、死に至る病気です。
ALSに対する根治療法はなく、病気の進行を遅らせる薬物療法や進行、状態に合わせてリハビリなどの対症療法を行うのが現状です。
ALSについて知っていただければ幸いです。
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