認知症と食事摂取の課題 - 原因と6つの対応策
認知症患者のケアにおいて、食事摂取は重要な側面です。食事に関する問題は多岐にわたり、これらに対応することは、介助の効率化や患者の栄養状態改善に直結します。ここでは、食事摂取に影響を及ぼす様々な原因と、それぞれの具体的な対処法を紹介します。
1. 失行:食器の選定と持ち方の調整
失行は、食事に必要な動作を忘れる状態です。まず、使用する食器の持ち方を確認し、必要に応じて持ちやすい形状に変更することが効果的です。例えば、箸が使えない場合はスプーンやフォークに切り替えるなどの調整が有効です。
2. 失認:食物の認識を助ける
失認は、食べ物を正しく認識できない状態を指します。この場合、食事の内容を言葉で説明する、あるいは一緒に食事をして見本を示すことが有効です。
3. 失語:コミュニケーションの工夫
失語により、患者が好みを伝えたり、現在の食欲を表現したりするのが難しい場合、はい/いいえで答えられる質問をする、あるいは簡潔な単語や書面でのコミュニケーションを試みることが推奨されます。
4. 視空間認知障害:食器の調整
この障害では、食器の位置や距離の認識が困難です。食器を手渡す、色のコントラストを工夫するなどの対策が効果的です。
5. 半側空間無視:配膳の工夫
半側空間無視の場合、患者は食事の一部を認識しないことがあります。食事を集中させて配膳する、あるいは食器を定期的に回転させるなどが効果的です。
6. 注意障害:環境の調整
周囲の刺激が食事に集中させない場合、環境を変更することが有効です。例えば、テレビを消す、食事の場所を移す、食器の数を減らすなどの対策が挙げられます。