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夏の終わり

ごっ、ごっ、ごっ。
スーツケースが階段にぶつかる。取っ手を両手で持ちながら必死に階段を上っていく。通行人は横目に見ながらすいっと通り抜けていく。
お盆を過ぎたというのに夏の暑さは容赦がない。いや、さっきそこの店の前のミストシャワーで長居し過ぎましてね。なんて言い訳を考えながらごっ、ごっ、ごっと上って行く。

階段を上がると大きな標識がそびえ立っていた。左が国際線、右が国内線。はあ。でかい。でかいなあ。その場に立ち尽くしていると、横からすーっと1人国内線の方へ向かっていった。また横からすーっと国内線へ。と思えば今度はすすいっと国際線へ。すーっ。すすい。すいっと。迷うことなく、立ち止まることなく、何かに吸い込まれるように。それはまるで進む道がわかっているかのように。

ごくっと喉を鳴らして、その場から離れることを決めた。綺麗になんて歩けない。ぶつかって、止まってを繰り返すだろう。それでも今日途立つのだ。

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