千田有紀「学問の危機と『キャンセル』の方法論」『情況』の注と補足
このページは『情況』の千田有紀「学問の危機と『キャンセル』の方法論」の注である。論文の紙面に注はいちおう印刷されているが、URLが多く、利便性を考えて公開する次第である。また、紙幅の都合上省いた情報も補足してある。
注1 千田有紀、2020、「「女」の境界線を引きなおす」、『現代思想』3月臨時増刊号。論文はここで全文が公開されている。
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注4 高島鈴、2021、「都市の骨を拾え」、『現代思想』11月号、青土社。TERFとは通常、「ジェンダー・クリティカル・フェミニスト」ではなく、Exclusionary Radical Feminist(トランス排除的ラディカルフェミニスト)の頭文字をとったものと考えられている。
注5 高島鈴、2020、「オメガバースを読む――乱反射する欲望と現実」、『ユリイカ』9月号でも、末尾に同様に抗議文だけが掲載さ入れている。
一連のツイートについてのまとめと考察。
注6 千田有紀、2024「書店には放火予告まであった…一度は発売中止になった"トランスジェンダー本"がアマゾン1位のワケ」(プレジデント・オンライン)で書店の帯の写真などを見ることができる。
写真はまるめさんからいただきました。
この問題について触れた記事は以下のようなものである。
流出したWPATHファイル、キャス博士の報告書は、ジェンダー医療研究会によって翻訳されているため、日本語で読める。
出版関係者有志一同による「トランスジェンダー差別助長につながる書籍刊行に関しての意見書」は、URLが見つからないため、スクショで置いておく。
注7 【和訳】J.K.ローリングの声明文(6月10日付)※追記あり はてなblog『54023通りの空論』でながよさんが声明文を訳してくださっている。
注8 板垣麻衣子2021年12月11日 15時00分(2021年12月20日 15時30分更新)「生理がないのに女?ジョークが炎上 居直った私の好きなコメディアン」記事の文末には、以下の文言がある。
注9 論文を発表したあとに批判され、フォロワーが1万人ほどいたがアカウントは削除したため、スクショ以外でこのポストは見られない。
注10 おおもとのツイートは削除されたの見つからないが、たくさんのスクショを見ることができる。Twitterでなされてきたトランスジェンダーに関する多くの発言(特に当事者やアライのもの)は、トランスジェンダリズムwiki発言録などを参照のこと。上瀧浩子弁護士の「女根」発言。
注11 清水晶子さんの「ただの小さな肉塊」発言。女性たちの恐怖は否定しないが、それは実は「ペニスフォビア」ではなく、「トランスフォビア」であり、それを口実とすることは「トランスフォビックな暴力」であるという。
ペニスは大きなクリトリス発言(トランスジェンダリズムwikiより)
ガールディック発言はおおもとのものは、おそらく鍵アカウントになってしまっていて見つけられなかったため、それに言及しているツイートを掲載する。
注12 私の現代思想論文を読んで、泣いてしまったという堀あきこさんのツイート。当初はこういったエモーショナルな反応が多かった。
注13 おそらく私の論文に対しての清水晶子さんの当初の反応。
千田有紀、「清水晶子さんは、「キャンセル」していない(私の妄想だそうです)。」を参照すると、時系列的に事実が掲載されている。
注14 「千田有紀「「女」の境界線を引きなおす:「ターフ」をめぐる対立を超えて」(『現代思想3月臨時増刊号 総特集フェミニズムの現在』)を読んで」『ゆなの視点』blog
セルフIDを使いだしたあたりで、積極的にトランスフォビアに足を踏み出したといわれている。ゆなさんの読解への反論として、千田有紀「「女」の境界線を引き直す意味-『現代思想』論文の誤読の要約が流通している件について」
以下は、私の論文を含む『現代思想』フェミニズムの現在特集号へのAmazonレビュー。「自分の文章に対する反応としてAmazonのレビューを引っ張ってくるなんて、学者のやることかよ」などというひとがいるのは充分に予想がつくが、実際のところ、Amazonのレビューくらいしか引っ張ってくる文章がない。それくらい多くの学者は沈黙を守っているからである。ちなみにレビューのなかには、職場や学会、あちらこちらに連絡をして私を学界から追い出せという要望をはじめとして、数多くの私に対する暴力的な言辞が4年間近く掲載されていたが、この原稿を書くにあたって見に行ったところ、削除されていた。同時に私に対する賛同の声ももっとあったが、それも削除されていた。2024年7月23日現在評価数が45と書いてあるが、掲載されているレビューは比較すると少ない。多くが削除されたと考えられる。
以下は唯一残されていた批判的な(そして批判のなかでもまだ穏当な部類の)レビューである。「当事者のブログ」への言及があるのがわかる。また「編集部・編集者」への批判、「自らの差別心に負けてしまった」という心理への還元、(女性としての?)マジョリティ性の批判、さらに(学者としての)優位性の指摘など、トランス問題について語ったひとに対する批判のいわば「テンプレ」が盛り込まれている。
しかし、「学者として文章を用いる業であるならば、多くの人間に何度も「誤読」される自らに問題と責を見出すべき」といわれる一方で、「自らの優位性を用いて自らの言説で被害を受ける被差別当事者の「誤読」であり虚偽に過ぎないと触れ回る事が、果たして相手と対等に誠実に接する態度と言えるのでしょうか」といわれてしまえば、「誤読」を広められれば何も打つ手がないことになる。
注15 こういったツイートをはじめとして、ゆなさんのブログへの賛同が多く与えられた。引用先のURLはゆなさんのブログである。
注16 夜のそら、「未来人と産業廃棄物――千田先生の「ターフ」論文を読んで」(Aセク情報室)
ここでも私がセルフIDという言葉を使ったことに対して「心の底から怒り」が覚えられ、批判されている。
注17 「フェミニズム/クィア理論を専門とする研究者として」、双方を読んだうえで「ゆなさんが示された懸念と批判とに同意」する清水晶子さん。このツイートによって、ゆなさんが正しいという方向が決定づけられ、批判が激化した。
注 18 少年ブレンダ「誰が「女」の境界線を引きなおすのか~現代思想、千田有紀さんの記事」(アーカイブ)
ターフ戦争という言葉を私の造語だと主張する少年ブレンダさん。TERF Warという言葉の翻訳語であり、別に差別でも何でもないが、なぜきちんと指摘するひとがいないのか。
注19
少年ブレンダさんもセルフIDは「トランス女性を攻撃するために考案された意図的な誤謬だ」といい、私の論文を批判する根拠はセルフIDを擁護したことにある。
なお「論文」とわざわざ鍵カッコがついているのは、私の論文は論文とも呼べない代物なのに自分で論文と呼んでいるのもおこがましい、「論考」で十分だという説がインターネット上に盛んに広まったためである。Amazonのレビューにもわざわざ「論文」と括弧がつけられ、清水晶子さんのツイートでも、また後述の小宮友根さんのブログ、藤高和輝さんの論文でさえも一貫して「論考」と書いているのは、その流儀にしたがっているのだろう。学者からすればそんな使い分けは存在していないにもかかわらず、私を叩くためになら乗っかる時点で、端的に言えばダサいと思っている。
注20 清水さんが、「私の論文が読めていない」というDMを夜のそらさんが受け取ったことについて、私を心配してくださっているツイートなど。なぜかそのDMの本文は、公開されていないので、何が書かれているのか全く不明のままである。清水さんはそれを「脅迫」と受け取ったという。詳細はここで書くことはできないが漏れ聞く事情によって、おそらく本気で脅迫だとは思っていなかっただろうと確信している。
↑(@chitapontaというのは削除した私のアカウントである。わざわざメンションしてある)。
↑(私に対応しろというだけではなく、「伝えられる立場にある方」のどなたか、つまり周囲が伝えろと、周囲を巻き込むツイート)。
↑(本筋とは関係ないが、「論考」を褒めた研究者の名前は~は、私に同意すると今後、仕事を回さないといっているようにも読める)。
↑(「Twitter上で中傷を受けたと感じる」というのは、おそらく以前、清水さんが私のツイートを誤読し、一方的に批判してこられ、最終的に謝罪された件を指すようだ。謝罪のツイートが下記である。よほど腹に据えかねたようで、あたかも嫌がらせを私がしたかのように、その後も何度も言及されている。「真意」は「日本のフェミニズムが十分クィアに向かわなかった」と書いてあるが、私の元のツイートに、そのようにはっきりと書いてあり、勝手に清水さんが誤読しただけだ。私のツイートが批判を受けてから数日であるところを見ると、私を批判しようと待ち構えていたため、勇み足で誤読してしまったのだろう)。
↑(「論文を読めていない」というDMを受け取ったからといって、なぜ「千田さんと親しいジェンダー研究業界の方たち」が介入する必要があるのか不明である)。
↑(私の周囲と「研究業界」が対応しろというが、なにをしろというのかまったくもって意味不明である)。
↑(しつこく言及されるのに耐えかねて、「私自身がDMを出したものではないし、私がコメントを出すべきだとは考えていなかった」というようなこと(すでにアカウントがないため記憶によれば)を返答したあとの清水さんのツイート)。
清水さんはほかのひとたちとこの件について語ったりしており、もっとツイートはたくさんあったのだが、一度手違いですべてが消えてしまったため、必要最低限のものだけ列挙した。
また原稿を提出してから下記のようなまとめを発見した。鍵をかけたアカウント(実名)から「お前には千田先生の論文の価値は分からない」「千田先生の悪質な印象操作をやめろ、お前は告訴される」っていうDMがきたそうだ。「外国のLGBTについての研究で本も書いてる人だった。本当に意味が分からない。LGBTの研究する人はLGBTなんてどうでもいいの?」「ただの脅迫にしか感じられませんでした」というのが夜のそらさんの言い分である。
以下は『現代思想』で、私以外の論文を薦めることで間接的に私の論文を貶める清水さんのツイートなど。1番上のツイートの引用元の北村紗衣さんが「研究者としてはあり得ないくらい調査不足」と批判されているが、理論的考察の論文に対して何が「調査不足」なのかまったく理解できない。「社会学=調査」という前提をお持ちなのかとも思うが、少なくとも「研究者としてはあり得ない」とまで書かれるのであったら、少なくとも「言いたいことがあまりよくわからない」だけではなく、事実を指摘すべきだろう。
↑(直近の上記ツイートは、スレッドになっている)。もともともっと掲載していたが、消えてしまったため最低限のものにとどめた。
注21 日文研が呉座勇一さんの昇任を拒んだあと、呉座氏のセクハラ批判と、日文研の対応の批判は別だと主張する呼びかけ人のツイート。なお、オープンレターの執筆者は小宮友根さんのようである。
注22 清水晶子さんを中心として出された「本学三浦俊彦教授によるトランスジェンダーに関するオンライン記事についての東京大学関係教員有志声明」 とそれに対する三浦俊彦さんの記事「三浦俊彦教授によるトランスジェンダーに関するオンライン記事について「東京大学関係教員有志声明」への応答」
こうした三浦俊彦さんからの反論に、声明を出した側からの反論はないようだ。これらの文脈を考えれば、おそらく私にももし論文に瑕疵があれば、オープンレターを出したかったのだろうと推察される。
サンフランシスコの公立図書館での、「TERFを殴れ」という血塗られたシャツや、鉄条網のついたバットや斧などの「アート」展示。
ヴァンクーバーでは、生得的女性のみしか受け入れなかったシェルターに、ネズミの死骸や落書き(TERFを殺してやる。くたばれTERFなど)がなされた。このシェルターは予算をカットされた。
こうした暴力の指摘をしたことはほとんど言及されなかった。わずかに畑野とまとさんが「アート」として擁護している。
注23 尾崎日菜子、2020、「埋没したものを掘り起こす―千田有紀さんとの濃厚接触の果ての断片、または、これからも接触を続けるための手紙」、『f visions』1号。たった4ページの短い文章に、30回近いペニスという単語が繰り返し繰り返し書かれている。尾崎日菜子さんと「接触」したこともなければ、これからするつもりもない。
注24 藤高和輝、2021、「ポストフェミニズムとしてのトランス? ―千田有紀「『女』の境界線を引きなおす」、お茶の水女子大学ジェンダー研究所『ジェンダー研究』24号。
問われるべきは論文の「意図」でも私の「認識枠組み」でもなく、その論文に何が書いてあるのかをきちんと追うことなのではないか?
研究者であるからには、最低限、論文を「正確に」読むべきではないのか。
注25 「千田氏の応答に対して」(『ゆなの視点』blog)
藤高和輝さんが依拠しているゆなさんですら、他のひとからの指摘を受けて、「確かに「構築」の意味を私は誤解していたのかもしれないと思い直しました」といっているのに、なぜ「誤読」を無批判に引用し続けるのか。研究者としての姿勢が問われる。
注26 清水晶子、2020、「埋没した棘―現れたかもしれない複数性のクィア・ポリティクスのために」『思想』1151号、岩波書店。
尾崎日菜子さんはアカウントを削除されてしまっているため、スクショを貼っておく。このツイートを擁護する論文である。
注27 清水晶子さんが主導して、私を「キャンセル」しようとしたことは「何の話だか全くわか」らない。「完全な妄想」で「誹謗中傷も甚だしい」のだそうです。驚いた。
注28 聞き手・宮廻潤子 2023年8月16日 12時00分「欧米で使い古されたデマ、トランスジェンダー標的に 神谷悠一さん」『朝日新聞』
注29 騒動から5日ほど経過したのち、社会学者の小宮友根さんは、自身のブログで私を批判しているが、理由は「日本のトランスアクティビストの発言に異論を唱え」「自身の主張をした」からである。
またセルフIDに関しても、
と私が批判を受けたのはまるできちんと説明をしなかったことが原因であるかのように述べている(ぎゃくにいえば、私を批判する側の理解が間違っていることに気づいているのに、その責任をに負わせて、理解の間違いを不問に付しているともいえる)。詳しくは以下
注30 千田有紀、「2022年度斉藤正美さんの発表について、カルチュラルスタディーズ学会に出した質問状」
この論文を書いて以降、さまざまな嫌がらせを研究者からも受け続けてきたが、一例として研究者である三橋順子さんの発言を2つほど貼っておく。三橋さんだけでもこれ以外にも大量にあり、裁判をしようかとも思ったが、あまりに馬鹿馬鹿しく、また体調を崩していてできなかった。大学院に7年通い、吐きながら博士論文も書き、研鑽を積んできたが、「コネと運で常勤職になったが能力がない」などと他人にいったことなどない。コネや運「だけ」で就職などできないことは自明だからである。
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